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カスタマーサポートにAIを入れても成果が出ない、よくある理由とは?

カスタマーサポートにAIを入れても成果が出ない、よくある理由とは?

こんな方におすすめ

  • カスタマーサポートにAI導入を検討しているが、何から始めればいいか分からない方
  • AI導入を試みたが、期待した効果が出なかった経験がある方
  • 現場の負担を減らしながら、顧客体験も向上させたい経営者・事業責任者

この記事を読むと

Before:「AIを入れれば効率化できる」と思っているが、具体的に何をすればいいか分からない

After:AI導入で成果を出すために必要な3つのステップと、その具体的な進め方が分かる

よくある失敗パターン

カスタマーサポートにAIを導入しようという話になると、「AIにメールを書かせよう」「電話対応をAIに任せよう」「マニュアルを読み込ませれば全部回答してくれる」といった理想論が出てきがちです。

でも、こういった単純なAI導入で解決できる課題は、実は全体の10%程度に過ぎません。むしろ現場の実情を無視した導入は逆効果になることすらあります。ROIが見合わず、「何のために導入したのか」という結果に終わるケースが後を絶たないんです。

なぜそうなるのか。多くの場合、AIを入れる前にやるべきことができていないからです。

本記事では、複数のB2C企業でカスタマーサポート改革を支援してきた経験をもとに、AI導入で成果を出すための3つのステップをご紹介します。

ステップ1:成否の鍵は「観察と計測」から始めること

現場との信頼関係構築が第一歩

カスタマーサポートの改革を進める上で最も重要なのは、まずはCSチームのリーダーやサブリーダーとの信頼関係を構築することです。彼ら彼女らは現場の業務を完全に理解しており、実運用の課題を最もよく知っている存在ですよね。

一方で、長年のオペレーションに慣れきっているがゆえのバイアスもどうしても存在します。「薄々改善の余地があると感じているけど、現状がベターだと思い込んでいる」という状態に陥りがちです。これ自体は仕方がないです。だからこそ、外部(のチーム)の視点を入れることに意味があると考えています。

「なんとなく」を許さない。徹底的な観察と計測

まず行うべきは、CSチームが何に時間を使っているかの徹底的な可視化です。もちろん厳密にストップウォッチで計測したり、モニタリングツールを導入したりする必要はありません。

やることはシンプルです。

  • 現場メンバーへの丁寧なヒアリング
  • 1週間程度の業務時間の記録
  • 各業務にどれだけの時間が使われているかの洗い出し

このプロセスで見えてくることは、驚くほど多いです。

「メール返信」に隠された複雑な業務フロー

例えば、「お客様からの問い合わせにメールで対応する」という一見単純な業務。実際には以下のようなプロセスで構成されています。

  1. 各店舗別の問い合わせフォームの確認
  2. 新規受付の内容確認
  3. ユーザーの管理画面での状況確認
  4. 解約可否やキャンペーン適用状況の確認
  5. 過去の履歴やマニュアルからの参照
  6. 返信文の作成(コピペと微調整)
  7. 担当者の割り振り

こうして分解してみると、当初想定していた「文章作成」よりも「各種システムへのアクセスと情報収集」に2倍以上時間がかかっていた、というインサイトが見えてきたりします。

この状態で「ChatGPTを導入しました!あとはよろしく!」とやっても、業務効率化にはほとんど寄与しません。ピンボケの施策になってしまうんです。

ステップ2:勇気を持ってそもそも論で業務を見直す

本当に必要な業務かを問い直す

観察と計測と並行して重要なのが、「この業務は本当に必要なのか」という根本的な問いかけです。

例えば、サブスクリプションサービスの解約に電話対応を必須としている企業があります。でも、以下の観点から見直す必要があるかもしれません。

  • 解約希望者への電話引き止めは、現場スタッフの精神的負担が大きい
  • 電話による引き止め効果は本当に測定・比較されているか
  • ユーザー体験として適切か

多くの場合、「事業者側からのオーダーだから」という理由で続けられている業務は、その効果を誰も検証していないケースがほとんどです。すべてを厳密に効果測定して、合理的な理由でオペレーションに落とし込む余裕がないからですよね。

解約率の改善については、別記事で詳しく解説しています。 → 解約理由をアンケートで聞かない方がいい理由なぜ継続顧客にもインタビューすべきなのか

横断的なヒアリングと調整の重要性

CSチームは日々の運用に追われ、業務の抜本的な見直しに踏み込む権限がないことがほとんどです。そのため、以下のような横断的なアプローチが必要になります。

  • 効率化や廃止によって誰が困るのかの特定
  • その人たちが本当にその業務を必要としているかの確認
  • 代替手段の検討と提案

これは粘り強い調整が必要で、正直なかなか難しい作業です。ただ、その分大きな成果につながる可能性があります。

ステップ3:将来を見据えたデータ整備(コンテキストエンジニアリング)

10年後を見据えた準備が必要

10年後には、AIがカスタマーサポート業務の大部分を担っているでしょう。そのために今から準備しておくべきことがあります。

現在、多くの企業で以下のような状況が見られます。

  • CSマニュアルのメンテが追いつかず、陳腐化している
  • マニュアルは整備されているが、AIに渡しても適切な回答が生成されない
  • 過去の対応履歴から人間がコピペする方が、AIに一から作らせるより効率的
  • どの情報をどのような濃淡で参照すべきか、AIが判断できない

これではAIを入れても効果が出ません。

AIネイティブな組織づくりについては、こちらの記事も参考にしてみてください。 → AIネイティブな組織には骨の髄まで透明性が必要、という話

問い合わせ履歴は「資産」

メールや電話での対応履歴は、将来の業務効率化のための資産です。宝の山です。

これらを適切に蓄積・活用するために、以下を意識するのがおすすめです。

やるべきこと

  • 問い合わせと回答を1対1で対応させたデータベース構築
  • 電話内容の録音と、AI・人間が識別可能な形での要約
  • 参照しやすく、抽出しやすい形でのデータ格納

避けるべきこと

  • 議事録をGoogleドキュメントに記載してGoogleドライブに保存するだけ
  • 構造化されていない形でのデータ保管
  • 人間の手作業に依存した情報整理

今すぐAIを導入しなくても、データを整備しておくことで、将来のAI活用がスムーズになります。

ナレッジ運用の具体的な方法については、こちらも参考になるかもしれません。 → KibelaとGoogle Docsを併用して、人間にもAIにも気持ちよいナレッジ運用をめざす

まとめ

カスタマーサポートの真の改革を実現するために、以下の3つのアクションが必要です。

1. 徹底的な観察と計測

  • 何に何時間使っているかの把握
  • 時間がかかっている業務の要因分析と言語化

2. そもそも論での業務見直し

  • 他の方法で代替できないかの検討
  • 業務の必要性そのものへの問い直し

3. コンテキストエンジニアリング(データ整備)

  • 将来のAI活用を見据えたデータ整備
  • 省エネで実現できる自動化体制の構築

これらのアプローチは泥臭く、時間もかかります。一方で、表面的なAI導入では決して得られない本質的な業務改革につながります。

Kumonoができること

本記事でご紹介した「観察と計測」「業務の根本的見直し」「将来を見据えたデータ整備」は、理想論ではなく実際の現場で成果を出すために不可欠なアプローチです。ただ、日々の業務に追われる中で、これらを自社だけで推進するのは簡単ではありません。

Kumonoは、複数のB2C企業でカスタマーサポート改革を支援してきた実績があります。

  • CSチームとの信頼関係を構築し、現場の実情を深く理解
  • データ分析とAI活用の専門性を活かした、実効性のある改善策の立案
  • 経営層と現場を繋ぐ「翻訳力」で、組織横断的な改革を推進

実際にご支援した企業様の声もご覧ください。 → SOELU株式会社様:事業急拡大の裏側でKumonoが果たした役割とは?株式会社ヤマップ様:「外から回す新サービス開発室」としての役割とは?

「AIを導入したいが、何から始めればよいか分からない」「現場の負担を減らしながら、顧客体験も向上させたい」という方は、ぜひ一度お話をお聞かせください。

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