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相談するこの記事では、「音声メモ×AI」という組み合わせで、話しながら考える癖を武器に変える具体的な方法をご紹介します。実際に私がこの方法で記事を書いた生のプロセスも公開しますので、ぜひ参考にしてください。
会議で「まとまる前に話してしまう」人へ
「会議で、考えがまとまる前に話し出してしまう」
「言葉にしているうちに、やっと自分の考えが見えてくる」
こういう経験、ありませんか? 私はめちゃくちゃにこのタイプです。私は話しながら考えるのが基本で、さらに時間をおいて、話した内容を後で書きながら深めるのが得意です。口に出すと思考が動き出し、書くと構造が固まっていく。といったリズムにうまく乗ると思考やドキュメンテーションがうまくハマる感覚があります。
個人的に、話しながら考えるタイプの人は、瞬間的な発想や連想を持ちながら思考を広げたり深めたりできる強みを持つ一方で、明確に弱点があると思います。
例えば、以下のような観点です。
- まとまる前に話し始めて話途中に迷子になりがち(「何言ってんだこいつ」という事故が起きる)。
- テキストでの深掘りはできるが、時間と強度の集中(カロリー)を食いがち(ドキュメント作成は深夜にしか進まない…)。
要するに、「考えながら話すタイプ」は思考の揮発性が高いといえるのではないでしょうか?。
つまり、その瞬間にひらめく発想や構造が出てくるのに、形になる前に消えてしまうのです。
だからこそ、このタイプの人にとってAIとの対話は相性がいいと感じています。
AIは、話すスピードで外に出た思考をほぼリアルタイムで受け止め、構造という形に変換して返してくれる。
結果として、話す速さ × 書く深さの両立がしやすくなるんです。
本記事では、「ボイスメモ(音声入力)+AI」で実際にどう思考を整えていくのか、具体例を交えてお伝えします!
例えば、以下の記事で考えている内容は完全に、今回紹介する「ボイスメモ(音声入力)+AI」の方法を使って言語化を行ないました。思考の生データを、どう構造化して言語化まで持っていったかのプロセスも実況します。
音声入力は「まとめるため」ではなく「観察するため」
私は散歩や移動の合間に、スマホの音声入力で考えをそのまま話します。狙いはアウトプットではなく、自分の思考を観察することです。頭の中のままだと曖昧なモヤも、声にするとつっかえや矛盾に気づけます。これがAIにかける生データになります。
実際の音声入力は本当に雑です。恥ずかしいくらい散らかっていますが、あえてお見せします(さらっと流し読みしてください)
ユーザーインタビューでは、事象の背景にありそうな、検証したい仮説が本当に確からしいのかという観点と、その仮説以外に何か実は強固な別軸がユーザーが持っていないのかという、この二つの確からしさを確認するという作業をしている。 例えばその仮説の補強作業に陥りそうになった瞬間にユーザーの言動から、他のやつはないのかというものに自然にインタビューの軸をスイッチさせるみたいなのが重要だという気がしていて、 そうすると別軸がないのかという観点でいろいろ探って入れていく。 ユーザーの反応を見ながら、確かに別軸の方が結構強いなという話であれば、ちょっとさっき補強しかけた観点も確かにそうあるんだけど、それ以外にそれ以上に別軸が強いみたいな話になっていくし、 別軸に探りを入れたときに、なんかヒットはするんだけどそんなに強くなさそうだなみたいな感じであれば、やっぱりさっきの補強しかけていた元々の仮説っていうのの方向性が結構強いんだなっていう話になっていくから、 じゃあそっちはもう少し深掘っていくっていう話になるし、そこら辺でバランスを人間である自分がバランス取っているような気がするし、そこの匙加減に力量や人間の個性が入るし差別化できるとおもうんすよね
正直、読みづらいですよね。指示語が多すぎるし、一読で正直何言ってるかわからんと。
でもこのぐるぐるとした思考の垂れ流しをAIに渡すと、整理して戻してくれます。実際の返答が以下です。
① 仮説の“確からしさ”
「この仮説は本当に正しいのか?」を確認する。
→ ユーザーの言動・行動をフラットに観察し、
“確証バイアス”に陥らないよう、感情の裏にあるロジックを拾う。
② 仮説の“相対的な強さ”
「他にもっと強い理由(別軸)があるのでは?」を探る。
→ 仮説が当たっていても、それが一番強い構造とは限らない。
インタビュー中に別軸を“差し込んでみる”感覚で確認する。
これはAIが人間の(私の)思考の垂れ流しをうまく受け止めた上で、設計図(構造)を返してくれる、ということに他なりません。私が垂れ流した思考の型や方向性を、AIが可視化して名前を与えるきっかけをくれるというイメージです。
AIが垂れ流しの思考に『構造』を与えてくれる
私がAIに価値を感じているのは、キレイに整えるよりも、思考のパターンを見せるところです。曖昧な言い回しでも、AIは繰り返し現れる対立軸や因果を拾います。
今回のやり取りから以下の二軸が抽出されました。
- 軸①:本当にそうなのか?(仮説の確からしさを検証する)
- 軸②:それだけなのか?(他にもっと強い別軸がないか探る)
「なるほど、私はいつもこの二軸で見ていたのか」と腑に落ちました。言葉以前の思考が、AIを通すと構造化された図として立ち上がります。
AIに対して考えを塗り重ねていく
一度話した内容の繰り返しも上等で、思考したい部分の核を繰り返し染み込ませます。
今回の事例は、以下のように私はAIに思考の生データを返しています。今回も読みにくいですし大したことも言ってないです(さらっと流し読みしてください)。方向性は明確に、重複する内容であっても重ね塗りするようなイメージで音声メモを作っています。
そうすると、ユーザーインタビューとかリサーチって、 仮説を確かめようとか、ユーザーの誘導尋問にならないようにしようとか、 感情じゃなくて、行動をフラットに、淡々と聞くようにしようとか、 いろんなことが言われてると思うし、 ユーザーインタビューの目的自体もいろんなものがあるじゃない。 だけど、結局その行動に即アクションというか、 インサイトを獲得して次の行動に繋がるかっていうことが、 やっぱりユーザーインタビューをする最も大事な意義だから、 何かしら綺麗に言語化して整理できましたで終わるとかは勿体無いというか。 それが求められる場面もあるかもしれないけど、 そういうインタビューよりもきちんとインサイトを獲って、 そのインサイトごとに行動できるかってことの方が重要なんで、 きちんと行動できるような仮説を用意しておくってことと、 それの補強に陥らないようにするってことと、 それ以外の仮説が補強される傾向があるんだったら、 それ以外の軸じゃないのかっていう話を一生懸命探っていく。 そういう意識でやるだけで質問の内容だとか、 時間の使い方とかそういうのが変わってくると思うし、 やっぱりリサーチャーの質がグッと上がると思うんですよね。 チームでリサーチ、インタビューの内容を確認したりするときにも、 結局どういう観点を補強できればよかったのかなとか、 インサイトからアクションにつなげるという前提で動いているからこそできる フィールドバックだったりだとか、さらに次のインタビュー相手のユーザーに対しては さらにこういうことを聞いてみようという話に生きると思うんで、 どんどん深さが深まっていくと思うんですよね。
なぜ「考えながら話すタイプ」にAIが向いているのか
ここまでの話を振り返ると、
考えながら話すタイプの人がAIを活用するメリットや具体的な方向性についてなんとなく腑に落ちてきませんでしょうか?
考えてから話すタイプは、思考が頭の中で完結しているため、AIに渡す素材がすでに整理されています。
一方で、考えながら話すタイプは、未整理の思考こそが価値のはずです。
AIはこの未整理の流れをそのまま受け止め、
構造化して返してくれる。
言い換えると、即興的な思考の揮発性を保ったまま、構造に変換できる。
これが、考えながら話すタイプにAIが刺さる最大の理由です。
AIは、瞬間的な発想や連想を失わずに、思考の骨格を可視化してくれる。
その結果として、速度と深度の両立が可能になるというイメージですね。
AIとの対話は「思考の自己学習ループ」
AIとのやり取りを続けていると、
ある瞬間から「思考が自分自身を学習していく感覚」が出てきます。
人間が話す → AIが構造を返す → 人間がその構造を再び話す → AIがさらに洗練させる。
この循環が自然に回り出すと、思考が自己強化していくはずです。
AIは、人間の思考を「完成」させるのではなく、思考が熟成していく場をつくってくれる存在。
話すことがそのまま、考えることになる。
「話す」という行為が「思考の素材化」になる
AIと話す行為は考えを伝える、というよりは、「さあ私の考えを抽出してくださいな」というそういう目的での行為として使うことが可能です。
考えながら話すタイプの人は、
AIとの対話を通じて「素材化 → 構造化 → 再話化 → 熟成」というプロセスを繰り返す中で、
自分の思考の癖や構造を見つけられます。
自分の考えを見える形で残して、もう一度考えるために返してもらい、というイメージで使うと有効で探索的な思考に対する使い勝手が爆増するのではないかなと考えます。。
AIは「話しながら考える人」にとっての第二の思考空間
- 考えながら話す人にとって、AIは思考の鏡であり、補助脳。
- AIが「垂れ流しの思考」に構造と名前を与えてくれることで、思考は定着する。
- そしてその構造を再び話すことで、思考は深まり、自己学習していく。
だから私は、AIを「文章を整える道具」ではなく、
思考の速度と深度の間をつなぐ存在として使っています。
考えながら話すタイプの方ほど、この方法はハマると思います。
モヤモヤしている段階で音声メモを取り、AIに投げてみてください。
返ってきた構造をもう一度自分の言葉で語る。
それだけで、思考が進化する感覚が得られるはずです。
今日から始められる3ステップ
- スマホの音声入力アプリを開いて、今考えていることを2分間話してみる
- その内容をAIに「これを構造化してください」と投げてみる
- 返ってきた構造を見て、また音声で感想を話してみる