目次
相談する【結論】AI導入で最も効果が出る3つの領域と成功の鍵
実証済みの高効果領域トップ3
1. 議会答弁・文書作成支援 → 作業時間40%削減(相模原市)
2. 住民向けチャットボット → 正答率93.3%達成(別府市)
3. 音声認識×AI議事録 → 作業時間50%削減(取手市)
事例から学べる3つのポイント
1. 小さく始めて効果を検証する
相模原市や尾張旭市のように、まず一部門から始めて効果を検証してから全社展開するアプローチが成功の鍵です。いきなり大規模導入するのではなく、パイロットプロジェクトで検証することが重要です。
2. ルール整備とセキュリティ対策を先に
AI活用には利用ルールの整備が不可欠です。北海道や生駒市のように、機密情報の取り扱いや誤回答への対処など、事前にガイドラインを策定しておくことで、安全で効果的な運用が可能になります。
3. 継続的な改善と学習
別府市や佐賀市のように、導入後も継続的に改善を重ねることで、AIの精度向上と効果最大化を図ることができます。職員のスキルアップも並行して進めることが重要です。
全20事例 詳細比較表
No | 自治体 | 分野 | AI種類 | 削減率/効果 | 導入時期 | 難易度 | 企業応用先 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 相模原市 | 行政DX | 生成AI(NEC製LLM) | 作業時間40%削減 | 試行中 | ★★★ | 経営資料作成 |
2 | 北海道 | 行政DX | ChatGPT + Copilot | 残業15%削減目標 | 2024年6月〜 | ★★☆ | 全社AI活用 |
3 | 取手市 | 行政DX | 生成AI×音声認識 | 作業時間50%削減 | 2024年9月〜 | ★★☆ | 会議効率化 |
4 | 生駒市 | 行政DX | LGWAN版ChatGPT | 安全環境構築 | 2023年8月〜 | ★★★ | 閉域AI活用 |
5 | 大阪市 | 行政DX | AIアシスタントOASIS | 業務品質平準化 | 運用中 | ★★★ | 部門横断支援 |
6 | 西宮市 | 行政DX | DocumentSeeker | 59%正回答 | 2024年2-3月 | ★★★ | 社内文書検索 |
7 | 尾張旭市 | 行政DX | ChatGPT | 95.2%が効果実感 | 2023年試行 | ★★☆ | 段階的導入 |
8 | 福岡市 | 安全防災 | AI画像解析 | 異常検知時間短縮 | 2024年9月〜 | ★★★★ | 製造業安全管理 |
9 | 愛媛県 | 地域支援 | 対話型AI | 1ヶ月435人利用 | 2024年9月〜 | ★★☆ | キャラクター接客 |
10 | 宮若市 | 住民サービス | ChatGPT | 職員負担軽減 | 2024年1月〜 | ★★☆ | 税務FAQ |
11 | 別府市 | 住民サービス | 生成AIチャットボット | 正答率93.3% | 2024年3-4月実証 | ★★☆ | 顧客FAQ |
12 | 佐賀市 | 住民サービス | しつぎ☆おとうふ君 | 24時間対応 | 2023年8月〜 | ★★☆ | 継続学習型FAQ |
13 | 青梅市 | 住民サービス | AIチャットボット | 24時間Q&A | 運用中 | ★★☆ | 社内FAQ |
14 | 浅口市 | 住民サービス | せいめいくん | 深夜・休日対応 | 2023年度〜 | ★★☆ | LINE連携FAQ |
15 | 渋谷区 | 住民サービス | 多言語AIチャット | 111言語対応 | 運用中 | ★★☆ | グローバル対応 |
16 | 会津若松市 | 住民サービス | LINEでちゃチャット | 気軽な相談環境 | 運用中 | ★★☆ | LINE活用 |
17 | 佐伯市 | 住民サービス | LINE公式AI | 24時間返答 | 2023年〜 | ★★☆ | LINE自動応答 |
18 | 大垣市 | 住民サービス | AIチャットボット | 自然な対話実現 | 2023年更新 | ★★☆ | 対話型FAQ |
19 | 川崎市 | 住民サービス | AIチャットボット | 迅速化・簡便化 | 2021年3月〜 | ★★☆ | 総合サポート |
20 | 観音寺市 | 住民サービス | LINE公式AI | 若年層中心に利用 | 運用中 | ★★☆ | 若年層向けFAQ |
注目事例20選:企業でも応用できるAI活用パターン
1. 行政業務の効率化:庁内DXの進化
1-1. 相模原市:国産生成AIで議会答弁作成時間40%削減
どんな課題を解決したか
市長答弁の下書きを職員がゼロから起案していた従来業務に多大な時間がかかっていました。過去5年分の答弁データを活用して効率化を図る必要がありました。
AI活用のポイント
- NECと協同で国産大規模言語モデルを活用
- 過去5年分の答弁データを学習させた生成AIを試行導入
- 市長答弁案の作成支援システムを構築
成果
- 市長答弁案の作成作業時間が約40%削減
- 職員アンケートで「構成のみ採用」などAIから得たアウトラインを活用できたケースが45%
- 一定の業務短縮効果が認められている
企業への応用ヒント
経営陣のスピーチやプレゼン資料作成でも同様の仕組みが活用できます。過去の資料を学習させたAIで、一貫性のある文書作成支援が可能です。
参照先: [相模原市公式発表](https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/030/936/0701/02.pdf)
1-2. 北海道:ChatGPT・Microsoft Copilot全職員開放で残業15%削減
どんな課題を解決したか
働き方改革の一環として残業時間15%削減という目標を掲げ、職員の業務効率化を図る必要がありました。
AI活用のポイント
- 2024年6月より職員がChatGPTおよびブラウザ版Copilotを業務端末から利用可能
- 庁内試行アンケートで効果を検証
- ガイドライン整備や研修を実施
成果
- 「業務効率化に役立つ」との回答が多数を占める
- 生成AI活用による文書作成やアイデア出しの有効性を確認
- 全庁で安全に生成AIサービスを活用する運用を開始
企業への応用ヒント
全社的なAI活用環境の整備として参考になります。セキュリティを確保しながら、段階的に全職員にAIツールを提供するアプローチが効果的です。
参照先: [北海道公式発表](https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/jsk/216996.html)
1-3. 取手市:生成AI×音声認識で議会答弁書作成50%効率化
どんな課題を解決したか
議会対応業務の効率化・高度化が必要でした。職員が一般質問への答弁書を一から作成する作業に多大な時間を費やしていました。
AI活用のポイント
- 職員が一般質問の内容を入力するとAIが想定問答と答弁素案を複数生成
- 2024年9月議会から導入
- 生成AIと音声認識技術を組み合わせたシステム
成果
- 約半数の職員が「業務時間が50%程度削減された」と回答
- 答弁書作成業務の大幅な効率化効果を確認
- 「ほぼ一から作成」が46%、「大幅な修正で完成」24%の内訳
- AI生成案を参考にしつつ職員の知見を加える運用が確立
企業への応用ヒント
会議資料や提案書の作成支援として応用できます。特に定型化された文書作成業務で、AIによる下書き生成と人間の修正・調整を組み合わせるアプローチが効果的です。
1-4. 生駒市:LGWAN対応ChatGPTの全庁実証
どんな課題を解決したか
総務省のガイドラインを受け、自治体専用環境(LGWAN)で利用できるChatGPTの実証実験が必要でした。個人情報を扱う業務でも安心してAIが活用できる環境を整備する必要がありました。
AI活用のポイント
- 2023年8月、総務省のガイドラインを受け自治体専用環境(LGWAN)で利用できるChatGPTの実証実験を開始
- 外部ネットに接続しない閉域ネットワーク上で生成AIを安全に活用
成果
- 業務効率化による市民サービス向上を目的に、職員が文章作成支援などに試験利用
- 効果や課題を検証
- 本格利用に向けてセキュリティ確保と運用ルール整備を進める
- 他自治体のモデルケースとなることを目指している
企業への応用ヒント
セキュアなAI活用環境の構築として応用できます。特に機密情報を扱う企業では、閉域ネットワーク上でのAI活用により、セキュリティを確保しながら業務効率化を図れます。
参照先: [生駒市公式発表](https://www.city.ikoma.lg.jp/0000033701.html)
1-7. 大阪市:全庁AIアシスタント「OASIS」の活用
どんな課題を解決したか
職員の業務を横断的に支援する仕組みが必要でした。各部署・職員でばらつきのあった文書作成や回答品質を均一化する必要がありました。
AI活用のポイント
- 職員の業務を横断的に支援する生成AIアシスタント「OASIS」を導入
- 庁内の業務品質平準化と効率化を図る
- 各部署・職員でばらつきのあった文書作成や回答品質をAIがサポート
成果
- 専門知識の共有や属人業務の解消につながった
- 問い合わせ対応文面の品質が向上し、市民への説明が分かりやすくなった
- AI提案による新たな施策アイデア創出など副次効果も現れている
- 今後さらなる活用範囲の拡大が検討されている
企業への応用ヒント
全社的なAIアシスタント導入として応用できます。特に大企業では、部門横断的なAI支援により、業務品質の平準化と効率化を同時に実現できます。
参照先: [大阪市公式発表](https://www.city.osaka.lg.jp/ictsenryakushitsu/cmsfiles/contents/0000623/623850/UseCases_OsakaGenerationAI_202506.pdf)
4. 住民サービスの自動化:24時間応答する自治体
4-1. 別府市:生成AIチャットボットで子育て相談93.3%正答率
どんな課題を解決したか
子育て支援策の一環として、24時間対応可能な相談窓口が必要でした。職員の電話・メール負担を軽減しながら、質の高い相談対応を提供する必要がありました。
AI活用のポイント
- 市独自のQ&Aデータと生成AIを組み合わせたチャットボット
- 2024年3~4月の実証運用を経て令和7年7月7日から本格運用
- 子育てに関する質問に自動回答
成果
- 質問139件中93.3%が正しく回答
- 不完全な回答は6.7%に留まる
- 完全に誤った回答はゼロ
- 「いつでも相談できる」「回答が迅速で的確」と利用者から高い評価
企業への応用ヒント
専門分野のFAQ自動化として応用できます。特に複雑な制度や手続きが多い業界では、独自データとAIを組み合わせた高精度な自動回答システムが効果的です。
参照先: [別府市公式発表](https://www.city.beppu.oita.jp/doc/sisei/df/henkaku/ai2/matome.pdf)
2. 安全・防災:AIが守るまちの安心
2-1. 福岡市:AI画像解析×防犯カメラで駅構内安全監視
どんな課題を解決したか
地下鉄博多駅での安全監視において、従来は見落としがちな異変への対応時間短縮が必要でした。ホーム上の転倒・ふらつき・喧嘩等を迅速に検知する仕組みが求められていました。
AI活用のポイント
- 2024年9月から防犯カメラ映像をAI解析する実証実験を実施
- 異常を検知すると駅長室に警報が鳴り、モニター上に事象キーワードが表示
- 2025年2月まで効果検証を予定
成果
- 「AIが異常を即座に検知することで初動対応が迅速になった」との声
- 従来は見落としがちな異変への対応時間短縮効果を確認
- データ蓄積とAI学習により検知精度向上が期待
企業への応用ヒント
製造業や建設業での安全管理として応用できます。監視カメラとAIを組み合わせることで、人的ミスを防ぎ、迅速な初動対応が可能になります。
参照先: [福岡県交通局発表](https://subway.city.fukuoka.lg.jp/subway_webapp/files/uploads/AIkekkahoukoku_1.pdf
3. 福祉・地域支援:暮らしを支えるAI活用
3-1. 愛媛県:対話型AI移住相談サービス「エーアイ移住コンシェルジュ」
どんな課題を解決したか
深刻な人口減少対策として、移住相談の24時間対応が必要でした。窓口の開庁時間に縛られず相談できる環境を整備する必要がありました。
AI活用のポイント
- 2024年9月より県イメージキャラクター「みきゃん」がチャットボット課長となって移住相談に24時間対応
- 移住ポータルサイトやLINEから利用可能
- 対話型AIによる移住相談サービス https://e-iju.net/ai-iju-concierge/
成果
- 開始後1か月間(9月末まで)に435人が利用
- 従来の対面・電話では掬いきれなかった潜在的移住希望者の掘り起こしに寄与
- 2026年度までに移住者数8,500人という目標達成を目指す
企業への応用ヒント
ブランドキャラクターを活用したカスタマーサポートとして応用できます。特に親しみやすいキャラクターでAIチャットボットを運営することで、顧客の心理的ハードルを下げられます。
参照先: [デジタル庁発表](https://digital-agency-news.digital.go.jp/articles/2024-12-24)
1-4. 西宮市:庁内文書を活用した生成AI実証(DocumentSeeker導入)
どんな課題を解決したか
職員のナレッジ共有と業務改善が必要でした。組織内の膨大な文書データを効率的に活用する仕組みが求められていました。
AI活用のポイント
- 組織内の膨大な文書データを参照して回答する庁内専用生成AIを2024年2~3月に試行
- DocumentSeekerを導入
- 職員91名×3問の検証を実施
成果
- 59%の質問で「正しい回答が返ってきた」と評価
- 一部誤情報含みつつも参考になったケースが17%
- 約98%の職員が「業務効率化につながる」と回答
- 半数は「大きくつながる」と高評価
企業への応用ヒント
社内ナレッジベースの構築として応用できます。特に大企業では、過去の文書や資料をAIが横断検索することで、社員の情報収集効率が大幅に向上します。
参照先: [西宮市公式発表](https://www.nishi.or.jp/shisei/seisaku/johokasuishin/08782024020614564.files/jissho.pdf)
1-5. 尾張旭市:職員向けChatGPT試行で利用率向上
どんな課題を解決したか
2040年頃の職員数減少に備えた業務効率化策が必要でした。ChatGPTの庁内試行利用で職員の利用率向上が課題でした。
AI活用のポイント
- 2023年にChatGPTの庁内試行利用を2度実施
- 1回目は利用率が伸び悩んだため説明会や研修を強化
- 同年12月に2回目の試行を短期間実施
成果
- 生成AIから「有益な回答が得られた」と感じた職員が85%(前回は78%)に増加
- 「業務効率が上がる」と回答した職員も95.2%(前回80%)に向上
- 利用回数も日あたり約1.89倍に増加
- 令和7年度から最適な生成AIサービス本格導入を目指す方針
企業への応用ヒント
AI導入時の職員教育として参考になります。説明会や研修を強化することで、職員の利用率と満足度を向上させるアプローチが効果的です。
参照先: [尾張旭市公式発表](https://www.city.owariasahi.lg.jp/uploaded/life/30231_54956_misc.pdf)
3-2. 宮若市:ChatGPT活用の確定申告問い合わせ対応FAQ
どんな課題を解決したか
職員の負担軽減と市民サービス向上が必要でした。確定申告に関する複雑な問い合わせ対応に多大な時間を費やしていました。
AI活用のポイント
- 2024年1月より自治体で初めて確定申告に特化した生成AIエンジン(ChatGPT)を庁内問い合わせ対応に実運用開始
- 当年度の税制改正や留意点などを事前学習
- 職員からの税相談にAIが回答
成果
- 職員は定型的な質問対応に追われる時間が削減
- より迅速かつ効率的な対応が可能
- 職員の作業負担軽減と市民への回答品質向上に寄与
- 一定の検証を経て住民向けへの公開も予定
企業への応用ヒント
専門分野のFAQ自動化として応用できます。特に税務や法務など、複雑な制度を扱う業界では、専門知識をAIに学習させた自動回答システムが効果的です。
参照先: [宮若市公式発表](https://www.city.miyawaka.lg.jp/kiji003446484/3_446484_15658_up_02du7db8.pdf)
4-2. 佐賀市:AIスタッフ総合案内チャットボット「しつぎ☆おとうふ君」
どんな課題を解決したか
行政サービスの手続きやごみ分別などについて、24時間365日対応可能な案内サービスが必要でした。
AI活用のポイント
- 2023年8月にAIが自動回答する総合案内サービス「しつぎ☆おとうふ君」を開始 https://ai-staff.net/saga/chat/
- 市公式ホームページ上で24時間365日利用可能なチャット形式の案内
- 市民からの質問データを学習して徐々に賢くなっていく仕組み
成果
- いつでも気軽に質問できる窓口を実現
- 利用者に参考情報の提示や市民からのフィードバックで精度向上を図る
- AIと住民が協働してサービス改善する運用を実施
企業への応用ヒント
継続的な学習機能を持つチャットボットとして応用できます。顧客からのフィードバックを学習データとして活用することで、サービスの品質向上を図れます。
参照先: [佐賀市公式発表](https://www.city.saga.lg.jp/main/57822.html)
4-3. 青梅市:AIチャットボットによる市役所業務Q&Aサービス
どんな課題を解決したか
市の各種手続きや制度に関する問い合わせに、24時間対応可能なサービスが必要でした。庁内各部署への問い合わせをワンストップ化する必要がありました。
AI活用のポイント
- 市の各種手続きや制度に関する問い合わせにAIが自動応答するサービスを公式ホームページ上で提供
- 聞きたいことを入力すると、市HP掲載情報に基づき回答
- 庁内各部署への問い合わせをワンストップ化
成果
- 24時間利用可能なため時間外の市民からの質問にも対応
- 業務時間中の電話照会対応も削減される効果が期待
企業への応用ヒント
社内FAQの自動化として応用できます。特に人事や総務など、定型化された問い合わせが多い部門では、AIによる自動回答で業務効率化が期待できます。
参照先: [青梅市公式発表](https://www.city.ome.tokyo.jp/soshiki/2/110461.html)
4-4. 浅口市:生成AIを活用した総合案内「せいめいくんチャットボット」
どんな課題を解決したか
市に関する質問に24時間対応可能なサービスが必要でした。深夜や休日でも市民の疑問に対応する仕組みが求められていました。
AI活用のポイント
- 2023年度に市に関する質問にAIが回答するサービスを導入し、令和5年5月に機能拡充
- 市ホームページ右下のキャラクターから質問可能
- 浅口市公式LINE上でも利用可能
成果
- 利用者の質問内容をもとに、市HP上の関連情報を生成AIが要約・回答
- 深夜や休日でも市民の疑問に対応
- 回答には参考となる市HP情報へのリンクも提示
- プライバシーにも配慮した設定
企業への応用ヒント
LINEを活用したカスタマーサポートとして応用できます。特に若年層をターゲットとしたサービスでは、LINEという既存のプラットフォームを活用することで、利用のハードルを下げられます。
参照先: [浅口市公式発表](https://www.city.asakuchi.lg.jp/page/15122.html)
4-5. 渋谷区:多言語対応AIチャットボット(LINE公式アカウント)
どんな課題を解決したか
外国人住民や訪日客からの問い合わせ対応強化が必要でした。従来は日本語以外の問い合わせに対応できない課題がありました。
AI活用のポイント
- 英語・中国語・韓国語など主要言語に加え、最大111か国語もの多様な言語での質問に自動応答可能
- LINE公式アカウントを活用
成果
- 言語の壁を越えた24時間案内が実現
- 区民・利用者からは「母語で行政情報を得られて助かる」と好評
- 利用状況を注視しつつさらなるサービス向上を図っている
企業への応用ヒント
グローバル対応のカスタマーサポートとして応用できます。特に多国籍な顧客を抱える企業では、多言語対応のチャットボットで24時間サポートを提供することで、顧客満足度向上が期待できます。
参照先: [株式会社ショーケースリリース](https://digitalpr.jp/r/65192)
4-6. 会津若松市:LINEを活用したチャット相談サービス「LINEでちゃチャット」
どんな課題を解決したか
市民が時間や場所を問わず行政相談できる環境整備が必要でした。スマート市政推進の一環として、LINEという既存の生活インフラを活用したサービスが求められていました。
AI活用のポイント
- LINE公式アカウント上でAIチャットボットによる問い合わせ対応を導入
- ごみの出し方や手続き案内等の身近な疑問に24時間対応
- LINEという既存の生活インフラを活用
成果
- 住民サービスの利便性向上に貢献
- 「いつでも質問できる安心感がある」「電話より気軽」といった市民の声
企業への応用ヒント
既存プラットフォームを活用したカスタマーサポートとして応用できます。特にLINEやWhatsAppなど、顧客が日常的に使用しているプラットフォームを活用することで、利用のハードルを大幅に下げられます。
参照先: [会津若松市公式発表](https://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/faq/)
4-7. 佐伯市:AIチャットボットのLINE公式導入
どんな課題を解決したか
住民からの問い合わせに24時間対応可能なサービスが必要でした。職員の負担軽減と市民サービス向上を両立する必要がありました。
AI活用のポイント
- 2023年に市公式LINEに生成AIを活用した自動応答サービスを組み込み
- 住民からの問い合わせにチャット形式で回答
- 行政手続の案内や施設情報など、よくある質問にAIが即座に回答
成果
- 職員が対応しなくともAIが24時間返答
- 市民サービス向上と業務負荷軽減を両立
- AIの学習を通じ回答精度の向上が見込まれる
企業への応用ヒント
LINEを活用したFAQ自動化として応用できます。特に定型化された問い合わせが多い業界では、AIによる自動回答で業務効率化と顧客満足度向上を同時に実現できます。
参照先: [佐伯市公式発表](https://city.saiki.oita.jp/)
4-8. 大垣市:AIチャットボットサービスの刷新
どんな課題を解決したか
従来のチャットボットをより自然な対話が可能なシステムに更新する必要がありました。市民からの問い合わせ対応の円滑化が求められていました。
AI活用のポイント
- 2023年にAI技術を取り入れた新システムに更新
- 利用者がチャット画面に質問を入力すると、AIが言語解析しあらかじめ用意した回答を会話形式で自動応答
成果
- 従来より自然な対話が可能になり、市民からの問い合わせ対応が円滑化
- ごみ分別や各種手続きなど定型質問への回答精度が向上
- 対話型のため利用者満足度も向上
- 職員の電話対応件数減少も期待
企業への応用ヒント
対話型AIチャットボットの導入として応用できます。特に顧客との自然な対話を重視する業界では、AIによる言語解析と会話形式の回答で、顧客体験の向上が期待できます。
参照先: [大垣市公式発表](https://city.ogaki.lg.jp/)
4-9. 川崎市:AIチャットボットシステムによる問い合わせ対応
どんな課題を解決したか
市民からの問い合わせに対する利便性向上が必要でした。行政手続や施設案内など幅広い質問に24時間対応可能なサービスが求められていました。
AI活用のポイント
- 令和3年3月1日から市民からの問い合わせに対する利便性向上を目的にAIチャットボットを導入
- 市公式サイト上で運用
- 行政手続や施設案内など幅広い質問に自動応答
成果
- 市民は電話や窓口に行かずとも必要情報を得られるようになった
- 問い合わせ対応の迅速化・簡便化を実現
- 開始から現在までに応答件数を順調に伸ばしている
- 特によくある質問への対応については「回答までの時間が大幅短縮した」との評価
企業への応用ヒント
総合的なカスタマーサポート自動化として応用できます。特に幅広い商品・サービスを扱う企業では、AIによる自動回答で顧客の問い合わせ対応を効率化できます。
4-10. 観音寺市:LINE公式アカウントでのAIチャットボット相談窓口
どんな課題を解決したか
住民が既存の情報発信チャネルと連携した24時間相談対応が求められていました。
AI活用のポイント
- 市公式LINE上に生成AIチャットボットを導入
- 住民がスマートフォンから気軽に市政相談できる環境を整備
- 既存の情報発信チャネルと連携した24時間相談対応
成果
- 特に若年層を中心に利用が進んでいる
- 定期的にチャットボットの利用状況や改善実績を公表し、透明性を確保
- 市民からのフィードバックをサービス向上に反映
- 「夜間でもすぐ回答が得られて便利」といった声が寄せられている
企業への応用ヒント
LINEを活用したカスタマーサポートとして応用できます。特に若年層をターゲットとしたサービスでは、LINEという既存プラットフォームを活用することで、利用のハードルを下げられます。
参照先: [観音寺市公式発表](https://www.city.kanonji.kagawa.jp/soshiki/2/56326.html)
全20事例:効果・コスト・難易度の一覧比較
分野別効果ランキング TOP10
番号 | 自治体 | 施策内容 | 主な効果 | 導入期間 | 難易度 | 企業応用例 |
|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 取手市 | 音声認識×AI議事録 | 作業時間50%削減 | 2024年9月〜 | ★★☆ | 会議効率化 |
2 | 相模原市 | 議会答弁作成支援 | 作業時間40%削減 | 試行中 | ★★★ | 経営資料作成 |
3 | 別府市 | 子育て相談チャットボット | 正答率93.3% | 2024年3-4月実証 | ★★☆ | 顧客FAQサポート |
4 | 北海道 | ChatGPT全職員開放 | 残業15%削減目標 | 2024年6月〜 | ★★☆ | 全社AI活用基盤 |
5 | 尾張旭市 | ChatGPT職員試行 | 業務効率95.2%が実感 | 2023年試行 | ★★☆ | 段階的AI導入 |
6 | 西宮市 | 庁内文書検索AI | 59%が正回答評価 | 2024年2-3月 | ★★★ | 社内ナレッジ検索 |
7 | 大阪市 | 全庁AIアシスタント | 業務品質平準化 | 運用中 | ★★★ | 部門横断AI支援 |
8 | 福岡市 | AI画像解析×防犯カメラ | 異常検知時間短縮 | 2024年9月〜 | ★★★★ | 製造業安全管理 |
9 | 愛媛県 | AI移住コンシェルジュ | 1ヶ月435人利用 | 2024年9月〜 | ★★☆ | キャラクター接客 |
10 | 宮若市 | 確定申告FAQ AI | 職員負担軽減 | 2024年1月〜 | ★★☆ | 専門分野FAQ |
導入難易度別の分類
導入しやすい(★★☆以下)— 初めてのAI導入におすすめ
チャットボット系(6事例)
自治体 | サービス名 | 主な成果 | 導入のポイント |
|---|---|---|---|
別府市 | 子育て相談チャットボット | 正答率93.3% | 独自Q&Aデータ×生成AI |
佐賀市 | しつぎ☆おとうふ君 | 24時間対応実現 | 市民フィードバックで学習 |
青梅市 | 市役所業務Q&A | 24時間利用可能 | 市HP情報ベース |
浅口市 | せいめいくんチャットボット | 深夜・休日対応 | LINE連携 |
渋谷区 | 多言語AIチャットボット | 111言語対応 | LINE公式アカウント |
会津若松市 | LINEでちゃチャット | 気軽な相談環境 | 既存インフラ活用 |
中程度(★★★)— 一定のリソースがあれば導入可能
文書作成・業務効率化系(8事例)
自治体 | 施策内容 | 削減率/効果 | 対象業務 |
|---|---|---|---|
相模原市 | 議会答弁作成支援 | 40%削減 | 市長答弁下書き |
取手市 | AI×音声認識議事録 | 50%削減 | 議会答弁書作成 |
北海道 | ChatGPT全職員開放 | 残業15%削減目標 | 文書作成・アイデア出し |
生駒市 | LGWAN版ChatGPT | 安全な環境構築 | 文章作成支援 |
西宮市 | DocumentSeeker | 59%正回答 | 庁内文書検索 |
大阪市 | AIアシスタントOASIS | 品質平準化 | 横断的業務支援 |
尾張旭市 | ChatGPT試行 | 95.2%が効果実感 | 各種業務効率化 |
宮若市 | 確定申告FAQ AI | 職員負担軽減 | 税務相談対応 |
高難度(★★★★以上)— 専門知識・予算が必要
画像解析・高度AI活用系(2事例)
自治体 | 施策内容 | 成果 | 必要な要素 |
|---|---|---|---|
福岡市 | AI画像解析×防犯カメラ | 異常検知の初動短縮 | カメラ設備、AI解析システム |
愛媛県 | AI移住コンシェルジュ | 1ヶ月435人利用 | キャラクターIP、対話型AI |
コスト×効果マトリクス — どこから始めるべきか一目瞭然
高効果 │
│ 📄相模原市 🎙️取手市
│ (答弁作成40%) (議事録50%)
│
│ 💬北海道 🤖別府市
│ (残業15%) (正答率93%)
│
│ 🏢大阪市
│ (品質平準化)
低効果 │
└─────────────────────────
低コスト 高コスト
(〜500万) (500万〜)
まとめ
自治体のAI活用事例から見えてくるのは、AIは「魔法の杖」ではなく、適切な導入プロセスと継続的な改善があって初めて効果を発揮するということです。
企業でも同様に、まずは小さく始めて効果を検証し、ルールを整備しながら段階的に展開していくアプローチが成功への近道と言えるでしょう。
今回紹介した事例を参考に、自社の業務にAIをどう活用できるか、ぜひ検討してみてください。
Kumonoは、自治体や地域企業の"現場の困りごと"を出発点に、AIを活用した業務改善やDX推進を支援しています。
小さな業務の効率化から始めて、成果を確かめながら、全庁的な取り組みへと広げていく形で伴走します。
単なるツール導入ではなく、「どんな課題を解決したいのか」から一緒に整理し、業務フローの見直しや仕組みづくり、効果検証までを丁寧に設計します。
すでに民間企業で多数の業務改善や新サービス開発を支援しており、そのノウハウを行政現場にも応用しています。
「AIを使ってみたいけれど、どこから始めればいいか分からない」
「職員の負担を減らしながら、住民サービスを良くしたい」
——そんな自治体の皆さまに向けて、現場に寄り添った形でご提案いたします。
ご関心のある方は、まずは課題や現場の状況をお聞かせください。
最初の一歩から、無理のない形で一緒に設計していきます。