## こんな方におすすめ

- 「意見を出してほしい」と言っても、会議で誰も発言しない

- ちゃぶ台返しをしてから、現場の空気が変わった気がする

- 方向転換やノーの伝え方に、毎回モヤモヤが残る

## この記事を読むと

Before:社員がイエスマン化していて、なぜそうなったのか原因がよく分からない

After:ちゃぶ台返しとイエスマン化の構造的なつながりが分かり、ノーの伝え方を変える具体的な手がかりが得られる

## イエスマンは、意見を持っていない人じゃない

「社員がもっと主体的に動いてくれたらいいのに」「会議で意見を求めても、誰も発言しない」。こういう嘆きを経営者から聞く機会は多いです。

ただ、現場のメンバーと腹を割って話すと、別の本音が出てきます。

> 「どうせ本気で考えても、最後は社長の思いつきでひっくり返るじゃないですか」

> 「だったら最初から、社長の正解を待っていた方が傷つかなくて済む」

ここで押さえておきたいのは、イエスマンとは「意見を持っていない人」ではないということです。「意見を出しても意味がない」と学習した結果、もはや表に出さなくなっていった人のことです。

そしてそう学習させてしまっているのは、多くの場合、組織の意思決定のプロセス、特にちゃぶ台返しの作法にあります。

## なぜちゃぶ台返しは現場を冷めさせるのか

誤解なく言っておくと、ちゃぶ台返し自体が悪いわけではないです。状況が変われば決定を修正するのは、経営者の重要な役割です。

問題は「変えるかどうか」ではなく「どう変えるか」です。

現場に残る印象で言うと、こういうことが積み重なります。

- 時間をかけて準備したことが突然「なかったこと」になる

- 自分なりに工夫した判断が、評価されないままリセットされる

- なぜ変わったのかの背景が共有されないまま、決定だけが降ってくる

これが繰り返されると、現場はこう学習します。「本気で考えても結局ひっくり返る。だったら省エネしておかないと身がもたない」と。

主体性を出すということは、裏側でリスクを引き受ける行為です。仮説を立てて提案する、反対意見を出す、そして外したり否定されるかもしれない。この心理的コストを払って挑戦したのに、何度もちゃぶ台返しを経験すると、「主体性を出すより、波風立てずに従う方が省エネかつ合理的」という判断が働きます。

こうして、意見を持っていても出さない人が増えていく。経営者が「もっと意見を出してほしい」と言えば言うほど、現場との温度差が広がっていきます。

## ちゃぶ台返しが起きやすい組織のパターン

よく見るのは、次の2つです。

「決め方」は設計されているが、「やめ方」が設計されていない。 新しい施策を始める時には目的や狙いを明確にする一方で、「どんな状態になったら見直すのか」「どんな条件なら撤回を検討するのか」まで決めているケースはあまり多くないです。やめ方が決まっていないと、撤回のタイミングは場当たり的になりやすく、経営側の頭の中では筋が通っていても、それが現場に伝わらないまま「ガラガラポンが起こった」という印象だけが残ります。

フィードバックが一方向になっている。 経営から現場へのフィードバックは頻繁に飛ぶ一方、現場から経営への声を吸い上げる仕組みがないと、経営側は「特に問題なく回っている」と認識し続けます。結果として、意図とは無関係に「ちゃぶ台返しが当たり前の組織」ができあがっていきます。

## ノーを伝える時に、未来のイエスマンを増やさないために

どうしてもちゃぶ台返しや「ノー」が必要な時は必ず来ます。その時の伝え方しだいで、「挑戦した人がもう二度と手を挙げたくなくなるか」が大きく変わります。

意識してほしいのは2点です。

軸をはっきりさせて伝える。 「なんとなく違う」で終わらせず、どの軸で違うと感じているのかを言葉にします。

- 今ではない(タイミングの問題)

- このやり方ではない(手段の問題)

- 今のビジョンとはずれている(方向性の問題)

どうしても直感に寄っている場合も、「正直ロジックを超えて、自分の主観もかなり入っている。ただその判断の責任は自分が負う」と伝えた方が、現場の納得感は上がります。

挑戦した行為そのものへのリスペクトを示す。 方向転換を伝える時に最も失われやすいのは、「自分の時間と勇気が、きちんと扱われたか」という感覚です。

> ❌「この案、ちょっと違うかな。もう一回考え直して」

> ✅「提案ありがとうございます。このアイデアのおかげで、〇〇という論点がクリアになりました。今回はタイミングの問題で見送りたいです。理由は今期△△を優先していて、ここにリソースを割くと全体のスケジュールが崩れるからです。□□の部分は次の施策でも必ず生きるので、そこは一緒に形にしていきたいです」

同じちゃぶ台返しでも、受け取り方はまったく変わります。「結果は採用されなかったけれど、やってよかった」と思えるかどうか。これがイエスマンを増やすかどうかの分岐点です。

## まとめ

イエスマンが増える原因は、社員の主体性の問題ではなく、組織の意思決定プロセスにあることが多いです。

- イエスマンとは、「意見を出しても意味がない」と学習した人

- ちゃぶ台返しの頻度より、作法の問題

- やめ方を最初から設計しておく

- ノーを伝える時は、軸と挑戦へのリスペクトをセットで言葉にする

正しさだけでは人は動きません。作法と構造を変えることで、同じ意思決定でも現場の受け取り方は変わります。

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