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マーケの顧客インタビューを自己満で終わらせず、バリュープロポジションの見直しに活かすには?

マーケの顧客インタビューを自己満で終わらせず、バリュープロポジションの見直しに活かすには?

本記事はこちらの記事の実践編です。ぜひこちらの記事も併せてご覧いただけますと幸いです。

前編では

  • マーケターがなぜ顧客インタビューをやりたがるのか
  • なぜ営業や経営が、その提案に対して懐疑的になりがちなのか
  • 経営者・営業・マーケターが、それぞれ「違う時間軸・場面の顧客」を見ている

といった構図を整理しました。

続きとなる今回の記事では、実践編ということで

  • マーケター起点の顧客インタビューを、どのように設計すればよかったのか
  • どのようにすれば、営業や経営から見ても「意味のある取り組み」になるのか
  • 顧客インタビューの結果を、バリュープロポジションの見直しにどのようにつなげるのか

といった内容を実務寄りに解説していきます。弊社の具体的な事例も最後に記載しているのでぜひご覧ください。

1. マーケターの顧客インタビューがなんの成果も得られませんでした...で終わる典型パターン

まずはよくある失敗パターンを出していきます。

1 目的が「顧客理解を深めたい」で止まっている

一番良くあるケースで、かつネクストアクションに繋がらないといいうか、勿体無いパターンです。

自分も過去やらかしたことがありすが、「とりあえず顧客理解を深めたい」で走り出すと、大体こうなります。

結果として

  • 何を明らかにしたいのか
  • どのような意思決定を変えたいのか
  • 誰のどの行動が変われば成功なのか

といった点が曖昧なまま進行してしまいます。

2 アウトプットできれいなまとめノートを作ってしまう

インタビュー後に

  • まとめスライド
  • インタビューレポート
  • 「学び」の箇条書き

などが社内向けに展開されるものの

  • LPや営業資料のどこが変わったのか
  • 営業トークや提案プロセスのどこが変わったのか
  • プロダクトの方針や優先順位がどう変化したのか

が社内でほとんど共有されないケースです。

この場合、営業や経営者の記憶には

「資料は増えたが、現場は変わらなかった」

という印象だけが残ってしまいます。

3 誰のどの意思決定を変えるのか決めてない

そもそもの話で、顧客インタビューは以下の仮説から設計されるべきです。

  • 誰の
  • どのタイミングの
  • どの意思決定を変えたいのか

上記が仮説レベルで決まっていないとインタビューの結果は

  • 読んだら興味深いし解像度上がった感はある
  • 具体的な意思決定には結びつかない

など中途半端な帰結を迎えがちです。

※関連記事(じゃあ仮説があったらいいのかというとそれはそれで罠があるよという話)

2. マーケティング起点の顧客インタビューの目的を再定義する

マーケターが主導する顧客インタビューは自社のバリュープロポジションを磨き直すための材料を集め、マーケ施策の濃度やこめるべき熱量をあげて、成果への確度を高めることが目的であるはずです。

バリュープロポジションとは一言でいうと、『誰に、どんな状況で、どんな価値を、他の選択肢よりどの点で優位に届けるか』を一文で言い切ったものです。

これが明確になっていると、

  • どの顧客に集中するべきか
  • どのような表現で訴求するべきか
  • どのようなコンテンツを出すべきか
  • どのような営業・プロダクトの判断を優先するべきか

といった意思決定の精度向上に役立ちます。

マーケティング起点の顧客インタビューは

顧客の口から出てくる言葉を通じて、
「自社は誰にとって何者なのか」を再定義するための場

として設計するのが自然です。

3. 顧客インタビューで炙り出したいのは何?

バリュープロポジションを考えるときによく使われる整理として

  • 顧客が強く望んでいること
  • 市場として一定規模があること
  • 自社の強みが活きること
  • 競合が十分に応えられていないこと

この四つが重なる部分を「狙うべきゾーン」とする考え方があります。

顧客インタビューは、そのうち特に

  • 顧客が本当に望んでいること
  • 顧客が実際に評価している自社の価値
  • 顧客が他社と比較したときに「ここが違う」と感じている点

を浮かび上がらせるために有効です。

4. 顧客インタビューで必ず確認しておきたい問い

バリュープロポジションの磨き込みに使うことを前提とすると、
顧客インタビューでは少なくとも次のような問いに触れておきたいところです。

1 そもそも、何がきっかけで自社(の商品を)探し始めたのか

  • どのような状況で
  • どのような課題感を持ち
  • 何がトリガーになって情報収集を始めたのか

これは「誰のどの状況に向けて価値を出すのか」を見直す材料になります。

2 比較検討のとき、どこで悩んでいたのか

  • どのような選択肢と比較していたのか
  • どの点を特に見ていたのか
  • 最後まで残った候補はどこだったのか

ここからは

  • 自社がどのカテゴリで見られているのか
  • 顧客が「当然満たされるべき」と思っている条件は何か

などが見えてきます。

3 最終的に「御社に決めた理由」は何だったのか

  • 決め手になった一言や資料
  • 「この瞬間に決めた」と感じた要因
  • 担当者やチームに対する印象

この回答はそのまま

  • 差別化ポイント
  • メッセージの核となるフレーズ
  • 営業資料の見出し

として使えることが多くあります。

4 導入後、どのタイミングで「頼んでよかった」と感じたのか

  • 導入直後に感じたこと
  • 数か月経った後に気づいた変化
  • 周囲からかけられた言葉や反応

ここは、

  • 顧客価値の「ビフォーアフター」
  • ストーリーとして語れる事例の骨格

をつくる材料になります。

5 もし今、他社に乗り換えるとしたら、どのような理由か

少し聞きづらい質問ですが

  • 今後、何が起きると不満を感じるのか
  • どの点が弱いと感じているのか
  • どのような提案があると乗り換えたくなるのか

といった話を聞けると

  • バリュープロポジションの守るべき中核
  • 逆に切り捨ててもよい周辺要素

の整理に役立ちます。

5. インタビュー結果からバリュープロポジションを組み直すステップ

インタビュー後に重要なのは、どのように意思決定に使うかです。まとめノートや顧客MBTI(ラベリングしてわちゃわちゃ安心する)を作ることではないです。

インタビューをやったあとは、大体次の流れでバリューポジションを組み直していくと良いです。

ステップ1 そのまま使える「生の一文」を抜き出す

インタビューのメモや録音から

  • 決め手を語っている一文
  • 「御社はこういう会社だと思っています」という表現
  • 導入後の変化を表すフレーズ

をそのままの言葉で抜き出します。

生の言葉は強いです。

これはLPや営業資料のコピーにダイレクトに使えることも多いです。

ステップ2 パターンを整理する

複数の顧客のインタビューが取れている場合

  • どのような課題からたどり着いたのか
  • どのような点を評価しているか
  • どのような場面で価値を感じているか

といった観点でパターンに分けます。

ここで

  • どのパターンに特に強いのか
  • どのパターンとは相性が悪いのか

が見えてくると、先述の狙うべき重なったゾーンがはっきりしてきます。

ステップ3 一文のバリュープロポジションにまとめる

ステップ1、2を踏まえて

「誰に向けて、どのような状況で、どのような価値を、どの点で優位に提供するのか」

を一文にまとめ直します。

例えば

変更前

「30代女性向けのピラティススタジオです」

変更後

「ジムに入会しても忙しすぎて三日坊主で終わりがちな30代女性のために、

『週1回だけ通えばいい』『予約変更は前日までOK』という通いやすさと

姿勢改善に特化した少人数レッスンで、3か月後に実感できる体の変化を提供するスタジオです。」

というように、「誰に」「どの状況で」「何をしている会社なのか」を具体化していきます。

ステップ4 具体的な施策に落とし込む

バリュープロポジションの仮説ができたら出来上がったそれらを

  • 営業資料の1枚目
  • LPの1スクロール目
  • セミナーやホワイトペーパーのタイトル
  • 採用ページのメッセージ

などに反映していきます。

おめでとうございます。

ここまで行ってやっと

「あの顧客インタビューがあったから、
こういうメッセージに変わり、こういう顧客からの反応が増えた」

という形で、現場にとっての意味が生まれてきます。

6. どのタイミングなら顧客インタビューが「突破のきっかけ」になりやすいか

顧客インタビューはいつでも有効というわけではありません。
ただ特に効果が出やすいのは、以下のようなタイミングです。

  • 事業は伸びているが、競合も増え、差別化ポイントが分かりづらくなってきたとき
  • 既存のマーケティング施策の効きが落ちてきているが、数字だけ見ても原因がはっきりしないとき
  • 新しいプランやサービスラインを立ち上げる前に、「誰にとって何者として出ていくか」を決めたいとき
  • 会社としてのメッセージやタグラインを見直したいが、どこから手を付けるべきか迷っているとき

このような局面では

  • 内側だけで議論していても話が堂々巡りになりがち
  • 数字だけでは判断の決め手に欠ける

ということがよくあります。

そこで顧客インタビューを行い、「顧客の言葉」を起点にバリュープロポジションを再定義することで、突破口が開ける可能性があります。

7. ケーススタディ 弊社Kumonoの例

最後に抽象化したかたちで、弊社のケースを簡単にご紹介します。

弊社はもともと代表の前職での経験(ToC事業会社でのプロダクトマネージャーとしてのスキルセット)を有していました。加えて独立当初は一人で全ての業務を回すためにAIをヘビーユースしており、AIネイティブな会社を作る試行錯誤を回していました。

代表のスキルセットを活かす形で、ざっくり

  • データ分析の支援
  • 顧客インタビューやユーザーリサーチ
  • AIツールの導入や業務改善まわり

といったテーマでご相談をいただいておりました。

当初は自社のことを

「データやAIを活用して事業を支援する会社」

と比較的広い立ち位置で捉えており、営業資料やサイトのメッセージも、そのようなトーンになっていました。

しかし、案件が増えていく中で、

  • どのプロジェクトが特に手応えがあったのか
  • どのようなお客さまと相性が良かったのか
  • なぜ弊社にご相談いただいたのか

を整理する必要性を感じるようになりました。

そこで行ったのが、次のような振り返りです。

  • 受注理由・失注理由の言語化
  • 既に成果が出ているお客さまへのインタビュー(こちらに各社へのインタビューをまとめています)
  • 過去プロジェクトのメモやチャットログの読み返し

といった地道な整理を行なっていきました。

その中で分かってきたのは、弊社が特に評価されていたのは
いわゆる「ツール導入」や「スキルセットを活かした代行業」そのものではなく次のような場面でした。

  • 事業は伸びているが、意思決定の負荷が経営陣や一部の人に集中している
  • データや定性情報はあるものの、精度が曖昧である・またはどの順番で何を見て決めれば良いかが整理されていない
  • 会議は尽くすも、毎回同じような議論を繰り返してしまっている

このような状況に対して、

  • 論点や前提条件を整理する
  • 必要な情報の集め方や見せ方を設計する
  • 実際の会議や検討プロセスに入り込み、一緒に進め方を調整していく

といったかたちで関わる案件が、特に成果につながっていました。

そこで、自社のバリュープロポジションを

  • 「データやAIを活用した支援全般」ではなく
  • 「意思決定が重くなっているチームの、決め方を軽くする外部パートナー」

という方向に振り直しました。

それに合わせて、

  • 弊社の営業顧問・紹介を行なっていただく方への当社バリュープロポジションの落とし込み
  • 営業資料
  • 記事のテーマ選び
  • 初回打ち合わせでの説明の仕方

などを、順次このポジションに沿うかたちで順次整えました。(Webサイトのメッセージは改修前ですが...)

結果として

  • 紹介経由でご相談いただく時点で「意思決定まわりを一緒に整理してほしい」というニーズがはっきりしているケースが増えた
  • プロジェクトの入り口から「何を変えたいのか」を共有しやすくなり、インタビューや分析の成果が、その後の意思決定に結び付きやすくなった
  • 弊社側も「お受けしない方がよい案件」と「特に価値を出しやすい案件」を見分けやすくなった

という変化がありました。

この例から分かるのは、

  • 顧客インタビューや案件の振り返りは、
    単に「顧客理解を深めるため」だけでなく、
    自社のバリュープロポジションを再定義するための重要な材料になり得ること
  • バリュープロポジションが一文で明確になると、
    戦う市場やターゲット、コンテンツや営業の方向性が自然と揃ってくること

の二点です。

顧客インタビューをこのような文脈で設計できれば、
やって終わりの施策ではなく、
自社の立ち位置を一段クリアにするきっかけとして機能させることができると考えています。

おわりに

顧客インタビューは、実施の仕方によって

  • 「また資料だけ増えただけで終わった施策」にも
  • 「自社の立ち位置と言葉を更新する、重要なきっかけ」にも

なり得ます。

特にマーケティング起点の顧客インタビューは、

  • 営業の目線だけでは見えない
  • 経営の記憶だけでは更新しにくい

自社が誰にとって、何者であるべきか、という問いに向き合うための、有力な手段です。

重要なのは

  • 何のために行うのか
  • 誰の、どの意思決定を変えたいのか
  • そのために、どのような問いを投げかけるのか
  • その結果を、どのようにバリュープロポジションやメッセージに反映させるのか

を最初から意識して設計することだと考えています。

その前提さえ共有できていれば、
営業や経営側から見ても「意味のある顧客インタビュー」として受け止められやすくなり、
マーケティング活動全体の精度も一段上げていけるはずです。

顧客インタビューの設計や実施でお悩みの方へ

「インタビューはしたいけど、社内の理解が得られない」

「実施しても、その後どう活用すればいいか分からない」

「バリュープロポジションの見直しまで、一緒に考えてくれるパートナーがほしい」

そんな課題をお持ちでしたら、ぜひ一度お話しさせてください。 Kumonoでは、顧客インタビューの設計から、その結果を事業の意思決定につなげるまでの全プロセスをご支援しています。 まずは30分の無料相談から。お気軽にお問い合わせください。

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