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パーセプションフローモデルとは?顧客の「認知変化」を軸にマーケティングを設計する方法を実践解説

パーセプションフローモデルとは?顧客の「認知変化」を軸にマーケティングを設計する方法を実践解説

こんな方におすすめ

  • カスタマージャーニーを作ったけど、施策に活かせていない
  • 顧客が「なぜ動いてくれないのか」を構造的に理解したい
  • 継続率やCV率の改善に行き詰まっている

この記事を読むと

Before:施策を打っても顧客が動いてくれない理由が分からない

After:顧客の「頭の中の変化」を軸に、どこに働きかければいいかが見えるようになる


パーセプションフローモデルとは

パーセプションフローモデルは、元P&Gのマーケター・音部大輔氏が考案したマーケティングの設計フレームワークです。著書『The Art of Marketing マーケティングの技法』(宣伝会議、2021年)で体系的に解説されており、テンプレートもCoup Marketing Company公式サイトで公開されています。

従来のマーケティングは「どう売るか」を起点に考えることが多かったのに対し、パーセプションフローモデルは「消費者がどう欲しくなり、どう満足するか」という認知の変化を軸に設計します。「パーセプション」は「認知・知覚」を意味する言葉で、消費者の頭の中がどう変わっていけば購買に至るかを可視化するのが特徴です。

基本的なステージ構成は以下のようになっています。

現状 → 認知 → 興味 → 購入 → 使用 → 満足 → 再購入 → 口コミ

各ステージで「消費者は何を思っているか(パーセプション)」「どんな刺激を与えれば次のステージに進むか(知覚刺激)」「成果をどう測るか(KPI)」を整理していきます。

カスタマージャーニーとの違い

パーセプションフローモデルとよく比較されるのが「カスタマージャーニー」です。どちらも顧客の購買プロセスを可視化するフレームワークですが、焦点と用途が異なります。

カスタマージャーニー:行動を分析する

カスタマージャーニーは、顧客が「何をしたか」を時系列で追います。たとえば「SNSで広告を見た → Webサイトを訪問した → 資料請求した → 商談した → 契約した」といった行動の流れを整理するものです。過去に起きた事実をベースに、顧客接点を洗い出すのに向いています。

パーセプションフローモデル:認知の変化を設計する

一方、パーセプションフローモデルは、顧客が「何を思ったか」に注目します。「今のやり方で困ってないと思っていた → このままじゃまずいと気づいた → 解決策がありそうだと知った → この会社なら任せられそうと思った」という頭の中の変化を設計するものです。

優劣ではなく、使い分け

カスタマージャーニーは「ファクトベースの現状把握」、パーセプションフローモデルは「仮説ベースの施策設計」と捉えるのが良いと思います。

カスタマージャーニーが向いているケース:

  • 顧客接点が複雑で、まず全体像を把握したいとき
  • 既存の導線のどこで離脱しているか特定したいとき
  • チーム内で顧客体験の共通認識を作りたいとき

パーセプションフローモデルが向いているケース:

  • 「なぜ動いてくれないのか」の仮説を立てたいとき
  • 新しい施策やメッセージを設計したいとき
  • 顧客の心理的なブロッカーを特定したいとき

実務では、カスタマージャーニーで顧客接点と行動を把握した上で、「じゃあこの行動の裏で、顧客は何を考えていたんだろう?」とパーセプションを掘り下げていく、という組み合わせ方が有効です。

「購入」以外にも応用できる

パーセプションフローモデルの基本形は「現状→認知→興味→購入→使用→満足→再購入→口コミ」という8段階。消費財のブランドマネジメントから生まれたフレームワークなので、「購入」「再購入」がゴールとして設定されています。

ただ、このフレームワークの本質は「顧客の認知変化を設計する」こと。そう考えると、ゴール地点を「購入」以外に設定しても機能するはずです。

実際、私たちKumonoでは以下のような形で応用しています。

  • サブスクの継続率改善 → ゴールを「3ヶ月継続」に設定
  • 機能利用率向上 → ゴールを「特定機能の初回利用」に設定
  • BtoBの商談設計 → 「問い合わせ→商談→契約」というステージに置き換え

ステージ名も「トライアル開始」「本契約」「プレミアムプラン移行」など、自社の文脈に合わせて変えています。

大事なのは「購入」という言葉にこだわることではなく、自分たちが動かしたいCV地点をゴールに据えて、そこに至る認知変化を逆算すること。「ユーザーの頭の中がどう変われば、ゴールに辿り着くか」を描ければ、フレームワークとして機能します。

身近な例で理解する 「 登山を始めるまでの認知変化」

ここからは具体例で見ていきます。まずは身近な例として、「登山未経験者が登山を始めるまでの認知変化」を整理してみました。

ステージ

認知(頭の中)

きっかけ

現状

登山ってガチ勢がやるもの

認知

意外と普通の人もやってるんだ

知人との雑談、ゆるい登山動画

興味

自然の中に身を置くのも悪くないかも

都会生活の疲れ

理解

大山なら電車で行ける、人も多くて安心らしい

具体的な山・アクセスを教えてもらう

確信

一人で行っても大丈夫そう

「熊は心配ない」「道迷いしない」と聞く

行動

来週末行ってみるか

天気のいい日を選ぶ

継続

次はもうちょい上を目指したい

初回が良い体験だった

ポイント1:「現状」の認知は誤解であることが多い

「登山=ガチ勢」という認知は、事実と異なります。でも、その誤解があるからこそ「自分には関係ない」と思っている。この誤解を解かない限り、どんな施策も響きません。

ポイント2:「確信」のハードルは不安の解消

「行きたい」と思っても、「熊が出たらどうしよう」「遭難したらどうしよう」という不安があると動けない。確信ステージで必要なのは、メリットの訴求ではなく「不安の解消」であることが多いです。

ポイント3:継続は初回体験の質で決まる

初回で「思ったより楽しかった」「また来たい」と感じるかどうかで、継続が決まります。初回体験の設計が甘いと、どれだけ集客しても継続につながりません。

BtoB事例 「Kumonoに相談が来るまでの認知変化」

次にBtoBの例として、「サブスク事業を運営する会社がKumonoに発注するまでの認知変化」を整理してみました。

ステージ

認知(頭の中)

きっかけ

現状

オンボーディングはPDCA回して最適化済み

入会〜初回体験のUXは構築できている

トリガー

3〜6ヶ月継続のUX設計方法が分からない

継続率向上の打ち手が見えない

相談

誰かいい人いないかな

社内メンバーに相談

紹介

いい人がいるらしい

別会社で一緒に働いた経験から紹介

興味

サブスク事業の経験ありそう

事前打ち合わせで実績を聞く

理解

分析だけでなく実行もやるのか

インタビュー→UX定義→施策まで一気通貫と知る

確信

この人なら任せられる

「めちゃめちゃいいな、理想形」と感じる

発注

契約

支援開始

ポイント1:紹介経由で「興味」までワープする

BtoBでは紹介の力が大きいです。「この人が言うなら」という信頼の連鎖で、認知・興味のステージを一気にスキップできます。

ポイント2:トリガーは「分からない」

「継続率が低い」という課題認識だけでは動きません。「どうすればいいか分からない」という状態になって初めて、外部パートナーを探し始めます。

ポイント3:BtoBの確信は「実行担保」

「良さそう」だけでは発注に至りません。「提案だけでなく、実行までやってくれる」という確信が決め手になります。BtoBでは「誰がやるか」「ちゃんと動くか」が確信のハードルになりがちです。

パーセプションフローを作るコツ

1. ステージは柔軟でいい

5段階でも10段階でも構いません。大事なのは「認知の変化が起きるポイント」でステージを区切ること。認知が変わらないならステージを分ける必要はありません。

2. ゴールから逆算して埋める

「確信」「行動」から考えるのがコツです。「何を確信していたから動けたのか?」「その確信を得るには、何を理解している必要があったか?」と逆算していくと、自然にステージが埋まっていきます。

3. 認知を掘るにはインタビューが必要

パーセプションフローモデルの精度は、どれだけリアルな「認知」を書けるかで決まります。

「たぶんこう思ってるだろう」という想像で埋めると、実態とズレたフローになりがち。実際に顧客にインタビューして、「あのとき何を考えていましたか?」「何がきっかけで気持ちが変わりましたか?」と聞くことで、初めてリアルな認知変化が見えてきます。

ポイントは、特定のセグメントで何人かに聞くこと。1人だけだと個人の特殊事情かもしれませんが、同じセグメントで3〜5人に聞けば、共通する認知変化のパターンが浮かび上がってきます。その共通項こそが、施策設計の土台になります。


まとめ

パーセプションフローモデルは、顧客の「認知変化」を軸にマーケティング活動を設計するフレームワークです。

  • カスタマージャーニーが「行動」を分析するのに対し、パーセプションフローは「認知」を設計する
  • 「購入」以外にも、継続率改善や機能利用率向上など、任意のCV地点に応用できる
  • 「現状」の認知は誤解であることが多い。そこを変えないと、どんな施策も響かない
  • 「確信」のハードルは、メリットの訴求ではなく「不安の解消」であることが多い
  • リアリティあるモデルを作るには、顧客へのインタビューが欠かせない。特定のセグメントで何人かに聞くことで、共通する認知変化のパターンが見えてくる

「顧客の頭の中がどう変われば、ゴールに辿り着くか」を描ければ、打ち手が明確になります。

施策の手数を増やす前に、まずは顧客の認知変化を整理してみてください。


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顧客の認知を掘り下げるインタビュー手法については、こちらの記事で詳しく解説しています。


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