目次
相談するこんな方におすすめ
- インタビューはやっているが、施策に繋がっている実感がない
- 解約理由を聞いても「価格」「使わなくなった」で止まってしまう
- 経営や営業に「それで何が分かったの?」と言われたことがある
この記事を読むと
Before:顧客の声は集めているが、インサイトと呼べるものが出てこない
After:「何を明らかにしたいか」から設計でき、継続や解約の真の理由や背景に辿り着ける
1. 顧客インサイトとは
顧客インサイトとは、顧客自身も言葉にできていない「行動の本当の理由」のことです。
たとえば、あるサブスクサービスで解約理由を聞くと「忙しくて使わなくなった」という回答が多かったとします。でも、これは本当の理由でしょうか。
よくよく話を聞いてみると、「最初は頑張って使っていたけど、成果が出ている実感がなくて、忙しさを言い訳に使うのも億劫になって...」という声が出てきたりします。
「忙しい」は表面的な理由で、本当は「成果が実感できなかった」が行動の理由だったということになります。この時、「行動の本当の理由」が顧客インサイトにあたります。

ニーズとの違い
顧客インサイトは「ニーズ」と混同されがちですが、少し違います。
例 | |
|---|---|
顕在ニーズ | 「運動したい」 |
潜在ニーズ | 「健康でいたい」 |
インサイト | 「家族に迷惑をかけたくない」 |
顕在ニーズは顧客が自覚していて言葉にできるものです。潜在ニーズは自覚はあるけど普段は意識していないもの。インサイトは、本人も気づいていない、行動の奥にある本当の動機です。
ニーズを聞くだけでは「運動したい人向けのサービス」で止まってしまいますが、インサイトまで掘れると「家族のために健康でいたい人」に届くメッセージが作れるようになります。

2. 「顧客が見えない」と何が起きるか
「顧客の声を聞いています」と言える会社は多いと思います。アンケートを取っている、インタビューもやっている。でも、施策に活かせている実感はありますか?
顧客インサイトが見えていないと、以下のような悩みを経験するのではないでしょうか。
打ち手が当たらない
解約理由を聞いて「価格が高い」という声が多かったから値下げした。でも解約率は変わらなかった。実は価格ではなく「成果が見えない」ことが本当の理由だったのに、表面的な声だけで判断してしまった。
機能追加しても数字が動かない
「この機能がほしい」という要望に応えて開発した。でも使われない、継続率も上がらない。顧客が言葉にした要望と、本当に求めていたことがずれていた。
広告のメッセージが響かない
「便利」「お得」「簡単」と訴求しても反応が薄い。顧客が本当に気にしていることと、こちらが伝えていることが噛み合っていない。
どれも「顧客が何を考えているか」がわからないまま打ち手を選んでいる状態です。逆に言えば、インサイトが見えると打ち手の精度が上がります。
解約率やLTVの改善に取り組んでいる方は、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
3. 顧客インサイトがわかると何が変わるのか
端的に言うと、商売の精度が上がります。
顧客が本当に求めていることがわかれば、それに応える商品やサービスが作れます。必要な機能やプランも見えてくる。何を伝えれば響くかがわかるから、マーケティングのメッセージも作れる。結果として、買ってもらえる。
「顧客を知る → 求められるものを作る → 届くメッセージで伝える → 買ってもらえる」
このサイクルを精度高く回せるようになる。それがインサイトを掴む意味です。
特定の課題を解決するとっかかりにもなる
継続率が低い、解約率が下がらない、CVRが伸びない。こういった特定の指標に課題があるとき、インサイトは原因を突き止めるとっかかりになります。
数字だけを見ていても「なぜ」はわかりません。でもインサイトがあれば「ここが原因だから、こう打てばいい」が見えてくる。闘う場所が定まります。
4. なぜインタビューしてもインサイトが出てこないのか
「インタビューはやっています」という会社は多いです。でも「インサイトが見つかりました」という話はあまり聞きません。なぜでしょうか。
「聞くこと」がゴールになっている
インタビューを実施すること自体が目的になっているケースがあります。「今月は5人に話を聞きました」で終わり。何を明らかにしたかったのか、何がわかったのか、が曖昧なまま。
仮説なしで臨んでいる
「とりあえず話を聞いてみよう」で始めると、雑談で終わりがちです。「こういう理由で継続しているのでは?」「ここがネックで離脱しているのでは?」という仮説があって初めて、検証するための質問が設計できます。
聞く相手が偏っている
協力的な顧客、つまりファンにばかり聞いていると、都合のいい声しか集まりません。継続している人だけでなく、離脱した人、検討したけどやめた人にも聞く必要があります。
<関連>インタビューをやっているのにインサイトが出てこない、経営から「で、何がわかったの?」と言われる。そういう方は以下の記事をお読みください。
→ なぜマーケの「顧客インタビューやりたいです」は、営業と経営にモヤモヤされるのか?
5. インサイトを引き出すインタビュー設計
インサイトが出てこないインタビューには共通点がありました。逆に言えば、そこを押さえれば精度は上がります。
「何を明らかにしたいか」から逆算する
「話を聞く」ではなく「これを検証する」という目的を先に決めます。たとえば「継続している人は何に価値を感じているのか」「離脱した人はどこでつまずいたのか」。目的が決まれば、聞くべき質問も決まります。
仮説を持って臨む
「たぶんこういう理由で続けているんじゃないか」「ここがネックで辞めているんじゃないか」という仮説を立てておく。インタビューはその仮説を検証する場です。仮説がないと、何を深掘りすればいいかわからなくなります。
聞く相手を選ぶ
継続している人だけでなく、離脱した人にも聞く。両方に聞くことで「なぜ続くのか」「なぜ辞めるのか」の違いが見えてきます。
継続顧客だけに聞いていると見えないことがあります。詳しくはこちらで解説しています。
→ 【解約理由調査】なぜ継続顧客にもインタビューすべきなのか
N1インタビューという考え方
インサイトを掴むには、1人の顧客を深く理解する「N1インタビュー」が有効です。大人数に浅く聞くより、1人に深く聞く方が本当の理由が見えてくることがあります。
10人でも十分なインサイトは得られる
「何人に聞けばいいですか?」とよく聞かれます。統計的に有意な数が必要と思われがちですが、インサイトを得る目的なら10人でも十分です。むしろ少人数でも深く聞く方が、表面的なアンケートより得られるものが多い。
→ たった10人のインタビューで売上改善の糸口が見つかる理由
6. インサイトを施策に繋げる

インサイトは見つけて終わりではありません。施策に繋げて初めて意味があります。
「わかった」で止まらない
インタビューの後、「なるほど、そういうことか」で満足してしまうケースがあります。でも、そこから「じゃあ何をするか」まで落とさないと、聞いた意味がない。
打ち手に変換する
たとえば「成果が実感できなくて離脱している」というインサイトが得られたとします。
- オンボーディングで小さな成功体験を作る
- 進捗が見える機能を追加する
- 「こう使うと成果が出やすい」というコンテンツを届ける
インサイトがあると、打ち手の方向が定まります。
バリュープロポジションを見直す
インサイトは、自社の提供価値を問い直すきっかけにもなります。「自分たちはこういう価値を届けているつもりだったけど、顧客が本当に求めていたのは別のことだった」と気づくこともある。
そういうときは、サービスの訴求軸や機能の優先度を見直すタイミングかもしれません。
7. まとめ
顧客インサイトとは、顧客自身も言葉にできていない「行動の本当の理由」です。
ニーズを聞くだけでは表面的な声で止まってしまいます。インサイトまで掘ることで、なぜ続けるのか、なぜ辞めるのか、本当のところが見えてきます。
インサイトがわかると、商売の精度が上がります。求められるものを作れる、届くメッセージが作れる、買ってもらえる。このサイクルが回り始めます。特定の指標に課題があるときも、原因を突き止めるとっかかりになります。
インタビューしてもインサイトが出てこない場合は、「何を明らかにしたいか」から逆算できているか、仮説を持っているか、聞く相手が偏っていないかを見直してみてください。
インサイトは見つけて終わりではなく、施策に繋げて初めて意味があります。