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解約率を本気で下げてLTVを上げたくなった際に知るべき3つの視点

解約率を本気で下げてLTVを上げたくなった際に知るべき3つの視点

こんな方におすすめ

  • 解約率が下がらず、打ち手が見えなくなっている経営者
  • 解約理由アンケートを取っているが、改善に繋がっていない方
  • 「継続率を上げろ」と言われているが、何から手をつけるべきか分からない事業責任者

この記事を読むと

Before:解約理由は何となく分かるが、具体的に何をすれば継続率が上がるのか確信が持てない

After:解約率改善の「考え方」が整理され、自社で取るべきアプローチが見える状態になる

解約率とは

解約率(チャーンレート)は、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標です。

サブスク型ビジネスでは、LTVは「月額単価÷解約率」で計算されます。つまり解約率は分母にいる。これが「解約率改善はインパクトが大きい」と言われる理由です。

たとえば、月額1万円のサービスで考えてみましょう。

  • 解約率5%の場合 → LTV = 1万円 ÷ 5% = 20万円
  • 解約率4%の場合 → LTV = 1万円 ÷ 4% = 25万円

解約率を1%下げただけで、LTVは25%向上します。

さらに、この改善は「今いる顧客全員」に効きます。

CPAを10%改善しても、効果があるのはこれから獲得する新規顧客にとどまります。一方、解約率を1%改善すれば、既存顧客1,000人いれば1,000人分のLTVが上がります。ストックに効くからこそ、レバレッジが大きい指標となります。

だからこそ「なんとか下げたい」と思うわけですが、実際にはなかなかうまくいかないことが多いです。次のセクションでは、なぜ解約率改善がうまくいかないのかを見ていきます。

解約率改善がうまくいかない理由

解約率を下げようと施策を打っているのに、数字が動かない。そんな経験はないでしょうか。

よくあるパターンをいくつか挙げてみます。

  • 解約理由をアンケートで聞いて、出てきた理由を潰しているが改善しない
  • 解約しそうな人にクーポンを出しているが、焼け石に水
  • 「継続率を上げろ」と号令はかかるが、具体的に何をすればいいか分からない

特に多いのが、解約者アンケートに頼るアプローチです。一見正しそうに見えますが、実はこれは構造的にうまくいきにくいです。

理由はシンプルで、解約者は本当の理由を言わないからです。

「料金が高い」「使う時間がなかった」といった回答は、嘘ではないけれど表面的なものがほとんどです。本人も本当の理由を言語化できていないことが多いですし、そもそも「もう関係が切れる相手」に対して、わざわざ正直に答えるインセンティブがありません。

→ 詳しくはこちら:解約理由をアンケートで聞かない方がいい理由

では、どうすればいいのか。施策を考える前に、まず全体像を捉えるところから始めましょう。

まず全体像を捉える

解約率を改善したいなら、最初にやるべきは「どこで、どんな顧客が離脱しているか」を把握することです。

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、意外とここをスキップして施策を打ってしまうケースは多いんですよね。全体像が見えないまま「とりあえずオンボーディングを強化しよう」「とりあえずサポートを手厚くしよう」と動いても、的を外してしまいます。

やるべきはコホート分析です。契約月ごとにユーザーをグループ化して、何ヶ月目に何%が残っているかを追っていきます。これだけで見え方がかなり変わります。

たとえば、こんなパターンが見えてきます。

  • 初月〜3ヶ月で大きく落ちている → オンボーディングの問題。サービスの価値を実感する前に離脱している可能性があります
  • 半年〜1年で落ちている → 価値実感の問題。最初は使っていたが、飽きた・必要なくなった・期待と違った、というケースです
  • 特定の流入経路だけ離脱が多い → ターゲティングの問題。そもそも合わない顧客を獲得してしまっています

こうしてどこに山があるかを把握してから、初めて「じゃあ何を改善すべきか」が見えてきます。

ここからは、解約率改善で押さえるべき3つの視点を紹介していきます。

視点①:顧客を正しく理解する

全体像が見えたら、次は「なぜ離脱しているのか」「なぜ継続しているのか」を深掘りしていきます。

ここでよくある落とし穴が、解約者ばかりを追ってしまうことです。

もちろん解約者の声を聞くことは大事です。ただ、先ほど触れたように、解約者は本当の理由を語ってくれないことが多い。では誰に聞けばいいのか。

答えは「継続している顧客」です。

継続顧客は、今まさにサービスに価値を感じてお金を払い続けてくれている人たちのことです。この人たちに「なぜ続けているのか」を聞くと、自社サービスの本当の価値が見えてきます。

たとえば、「機能が便利だから」と思っていたら、実は「サポートの対応が安心できるから」が本当の継続理由だった、というケースは珍しくありません。解約者に聞いていたら、この気づきは得られなかったはずです。

→ 詳しくはこちら:なぜ継続顧客にもインタビューすべきなのか

また、定性的なインタビューだけでなく、定量データと組み合わせることも重要です。

  • どんな属性の顧客が継続しやすいのか
  • どの機能をよく使っている顧客が残っているのか
  • 初期にどんな行動を取った顧客がLTVが高いのか

定性で「なぜ」を掴み、定量で「どれくらい」を確認する。この両輪で顧客理解を深めていくと、打ち手の精度が上がっていきます。

「実際にインタビューをやってみたい」という方は、こちらも参考にしてみてください。

継続顧客が「どんな認知の変化を経て、継続に至ったのか」を整理するフレームワークとして、パーセプションフローモデルも有効です。詳しくは[パーセプションフローモデルとは?顧客の「認知変化」を軸にマーケティングを設計する方法](https://kumono-inc.com/blog/perception-flow-model)で解説しています。

視点②:価値を言語化する

顧客理解が深まってきたら、次はそれを「言葉」にしていきます。

…とはいえ、「今まさに解約率が高くて止血が必要なのに、のんびり言語化してる暇なんてない」と思う方もいるかもしれません。

気持ちはよく分かります。ただ、その場しのぎの施策が長期的にはうまくいかないことも、経験上感じているのではないでしょうか。

たとえば「解約しそうな顧客に電話で引き止める」「クーポンを乱発して継続してもらう」といった施策は、短期的には数字が動くこともあります。でも、効果は徐々に落ちていきます。クーポン目当ての顧客が増えたり、引き止めても翌月には結局解約されたり。気づけば同じことの繰り返しになっている、という状態に陥りがちです。

だからこそ、少し立ち止まって「そもそも自社の価値は何か」を整理することが大事なんです。

「うちのサービス、なんとなく良いんだけど、何が良いか説明しづらいんだよね」

こういう状態だと、施策に落とすのが難しくなります。継続率を上げたいと思っても、「何を強化すればいいのか」「どこを訴求すればいいのか」が曖昧なまま進んでしまう。結果として、場当たり的な施策になりがちです。

やるべきは、自社サービスの価値を分解して言語化することです。

  • 顧客は何を期待して契約したのか
  • 実際に使ってみて、何に価値を感じているのか
  • どんな顧客に、どの価値が刺さっているのか

これを整理すると、「誰に」「何を」伝えればいいかが明確になります。オンボーディングで伝えるべきことも、継続促進の施策も、解像度が上がっていきます。

実際にこのアプローチで成果を出した当社の支援事例を紹介します。

登山アプリ「YAMAP」を運営するヤマップ社では、無料会員から有料会員への転換率が課題になっていました。そこで、ユーザーインタビューとデータ分析を通じて、YAMAPの価値を4つに分解・言語化するプロジェクトを行いました。

解約率改善とは少し文脈が異なりますが、「自社の価値を言語化して、誰に何を届けるか明確にする」というアプローチは同じです。

この言語化によって、「どの価値を、どの顧客に、どう届けるか」が社内の共通言語になり、施策の意思決定スピードが上がったといいます。

「なんとなく良い」を「言葉にできる」状態にする。これが、継続率改善の打ち手を具体化する第一歩です。

視点③:改善を仕組み化する

顧客を理解し、価値を言語化できたら、あとは施策を打って終わり…ではありません。

解約率改善は一度やって終わりではなく、継続的に取り組み続けるものです。顧客のニーズは変わりますし、競合環境も変わります。半年前に効いていた施策が、今は効かなくなっていることも珍しくありません。

ここで大事なのが、「仕組み化」という視点です。

  • 定期的に顧客の声を聞く機会を設ける
  • データを見て、離脱の傾向に変化がないかチェックする
  • 施策の効果を振り返り、次の打ち手に活かす

こうしたサイクルを回し続けることで、解約率改善が「一発勝負」ではなく「継続的な改善活動」になります。

実際にこの仕組み化で成果を出している事例を紹介します。

オンライン発達支援サービス「へやすぽアシスト」を運営するPAPAMO社は、継続率97%という高い数字を維持しています

私たちKumono社はPAPAMO社の支援において、ユーザーや現場の運用担当者へのヒアリングを通じて早期解約の原因を特定し、具体的な施策に落としんでいます。顧客体験を損なわない施策が単発なものに終わらないよう、オペレーションの属人を脱する領域を見極め、効率化や一部自動化にまで取り組んでいる事例となります。

まとめ

解約率を本気で下げたいなら、まずは全体像を捉えることから始めましょう。コホート分析でどこに離脱の山があるかを把握し、その上で打ち手を考える。これが基本です。

その上で、押さえておきたい3つの視点を紹介しました。

  • 視点①:顧客を正しく理解する — 解約者だけでなく継続者にも目を向ける。定性と定量の両輪で「なぜ続けているのか」を掴む
  • 視点②:価値を言語化する — 「なんとなく良い」を「言葉にできる」状態にする。誰に、どの価値を届けるかを明確にする
  • 視点③:改善を仕組み化する — 単発の施策で終わらせず、顧客理解のサイクルを回し続ける

解約率改善に近道はありません。ただ、正しい順序で取り組めば、確実に成果は出ます。まずは継続顧客へのインタビューから始めてみてはいかがでしょうか。

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