UXリサーチ

ユーザーインタビューで今日から使える小技集6選

ユーザーインタビューで今日から使える小技集6選

こんにちは。今回はユーザーインタビューをする方に向けて、たとえ10分後に控えたインタビューであっても即、実践可能な小技集ををご紹介します。

筆者はインタビュアー・インタビュイー合わせて3桁以上のユーザーインタビューの経験があり、他の良質なインタビュー(消費財メーカーのヒアリングや一流と呼ばれるUXリサーチャーのインタビュー場面)を直接拝見するなど、いわゆるインタビューオタクであります。

その中から「特に即効性が高い!これならすぐに取り入れられる!」と思える小技をまとめます。

小技1. 紙でメモを取る(あくまで"ポーズ"でもOK)

ユーザーインタビューでは、録音や録画を行うことが一般的です。しかし、それとは別にあえて紙にメモを取ることをおすすめします。理由は以下の通りです。

ユーザーがずっと見られている緊張感を和らげる

相手をずっと見つめながら質問をすると、ユーザーは緊張したり疲れたりしがちです。合間に紙へ視線を落とすことで、ユーザーがほっと一息つけるタイミングを作れます。

「ちゃんと聞いていますよ」のアピールになる

実際に精緻に書き込まなくても、「メモを取る」という行為そのものが「あなたのお話を重視しています」というサインになります。

録画や録音データで後から内容をしっかり確認できるので、議事録を作る目的でのメモは不要です。あくまでユーザーへの心理的配慮としての“ポーズ”の目的が第一、後の質問につながる可能性のあるようなキーワードやフレーズのメモができれば十分すぎるくらいだという意識で望んでいます。

小技2. 相槌は「そうなんですね」:客観性を保つ

導入するコストパフォーマンスが高い小技です。「そうですよね」というフレーズを撲滅し、**「そうなんですね」**に全て置き換えます。

  • 「そうですよね」:同調感がでる・ユーザーと一体化してしまいがち
  • 「そうなんですね」:事実を受け止めるフラットな印象に

「フラット」という言葉を過度に意識して、まったく感情を出さないアンドロイドのようになるのは避けたいです。ユーザーが嬉しい話をしていれば、笑顔で「そうなんですね、素敵ですね」と反応し、悲しそうなら、きちんと深刻な表情で話を聞く。大事なのは、サービス提供者としての立場を強調しすぎず、あくまでも"今は一歩引いた第三者"として意見を聞いている、という印象をユーザーに与えることです。

小技3. 質問後の「沈黙」にビビらない

ユーザーに質問した直後の沈黙には、慣れないととても怖いものだと思います。

  • よくある失敗
    • つい「なるほど、では次に……」と急いで話し始めてしまいがち。
  • 改善後
    • 意識してグッと3秒ほど待つように改善すると、ユーザーは「まだ話していいんだ」と感じて、追加のエピソードや本音を話してくれることが多い。

最初は気まずく感じるかもしれませんが、沈黙を恐れずに待つことで、深い情報を引き出す確率を上げられます。

質問票を抱えたインタビュアーは「進行したい」という急いた気持ちに陥りがちなので、普段より沈黙への耐性が落ちている可能性が高いです。その意味でも、意識してグッと沈黙に堪えることで、ユーザーのストレスを減らし、よりスムーズに踏み込んだ話につながります。

小技4. パーソナルな質問は「序盤にさらっと」

年齢・居住地・世帯年収・家族構成など、プライベートな情報を聞くのは、インタビュアーとしても気が引ける部分です。ただ、意外とユーザーはすんなり答えてくれることが多いです。

  • インタビュー冒頭に「まずは冒頭で〇〇さんについての基本的な事柄をお伺いしますね」と断りつつ、テンポよく質問
  • 「お名前とご年齢、そしてお住まいの市町村名を教えてください」など、当たり前の流れとして一気に聞く

後半で急に聞くよりも、最初に集中して聞いたほうがスムーズです。

特に年齢や年収など、一見聞きにくい事柄も序盤の一問一答のテンポの中で聞くのがおすすめです。

※「あなたの年収は?」ではなく「世帯年収は?」と聞くことで回答ハードルを下げるなどの細かな小技もありますが割愛

小技5. 「理由を教えてください」を封じる

「理由は?」と尋ねると、多くの人はその場で筋の通った回答を組み立てようとします。結果、本来の動機とズレた回答になりがちです。意識しないと頻発してしまうのでぜひ意識することをお勧めします。

「なぜ?」「理由は?」が封じられたら何で代用するか? 4W1H(when, where ,how ,what ,who)で代用することがお勧めです。

特に 「どのように(how)」「いつ(when)」、「だれと(who)」〇〇をしたのか、で組み立てることで、「理由」でない「エピソード(fact)」を自然に引き出すことが容易になります。

小技6. ユーザーの言葉をそのまま繰り返す

いわゆる「オウム返し」や「パラフレーズ」と呼ばれる技法です。

  • ユーザー:「アップデート後の新機能、ちょっと使いづらいんですよね」
  • インタビュアー:「使いづらいと感じているんですね。具体的にはどんな部分ですか?」

ユーザーが使った言葉をそのまま返すことで、相手は自分の発言が正確に伝わったと安心し、さらに詳しく話しやすくなります。

まとめ

ユーザーインタビューで今日からすぐ実践できる即効性の高い小技を6つ紹介しました。

  1. 紙メモを取り、ユーザーの緊張を和らげる
  2. 相槌は「そうなんですね」で客観性を演出
  3. 質問後の沈黙を恐れず、ユーザーの追加情報を引き出す
  4. パーソナル情報は序盤にまとめて聞く
  5. 「理由」より「きっかけ」で本来の動機を引き出す
  6. ユーザーの言葉をオウム返しして理解を深める

ユーザーインタビューの目的は、調査の大目的やテーマの中で、利用者の本音や行動背景を探ること。

もし一つでも取り入れられそうな小技が見つかって、より多くのインサイトを得る一助になれば幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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