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相談する「新しい機能やプランをリリースしたいけれど、無風に終わったらどうしよう...」「解約の真因ってどこにあるんだろう??」「入会率施策を色々入れてるけどなんか上手くいかないな...」
こうした事業直結の疑問を解消するには、実際にユーザーに話を聞いてみるのがいちばん早い手段です。一方でいざユーザーインタビューをしようとすると、大人数に時間を割いたり、大がかりな調査を入れたりするイメージがありませんか?あるいはどの程度の人数での実施をすれば良いか、目安がわからないということがありませんか?
この記事自体の結論になってしまいますが、特定のセグメントにターゲットを絞ったうえで10人前後を目安に行うユーザーインタビューで意外なほど多くのインサイトが得られます。特に「新プラン導入をどう感じるか」や「解約の本当の理由はどこか」といった、ビジネスに大きく影響を与えるテーマを探るには有効な手法なのです。本記事では、Kumonoが実際に行っているプロセスをもとに、その理由をご紹介します。
なぜ少人数でも深い洞察が得られるのか
インタビュー対象をある程度共通のニーズや利用状況を持つ層に絞ることで、たとえば5人前後からは「新プラン内容や料金感が刺さっている」「そもそもプランの比較表が分かりづらい」といったパターンが見え始めます。8〜10人程度に達する頃には、同じような指摘が繰り返し出てきて「ああ、これは本質的な課題なのだな」と気づくことができます。
冒頭に記載したケースを例にとると、
- 新プランの場合: 早期に「料金設定が分かりづらい」ことが頻繁に指摘されれば、案内ページやプラン構成を見直す必要性が一気に浮上します。
- 解約理由の場合: 数人と話すだけで「別のサービスと比較されている」「機能は良いがサポートの使いにくさが課題」という具体的な引き金を確信できるでしょう。
- 入会率改善の場合: なぜ見込み顧客が途中で離脱してしまうのか、実際に聞くことで「無料体験の説明が薄い」「料金発生のタイミングに不安を感じる」など、改善すべきポイントがクリアになります。
こうした事業の根幹に関わる課題は、早いうちに方向修正が必要になります。人数を膨大に増やす前に、まず10人未満での聞き取りを行うことで、効率よく原因を突き止められます。
段階的に仮説を育てていくインタビュー
Kumonoでは、「まずは数回(計3〜4人)のインタビュー→仮説修正→追加インタビュー→トータル10人前後で示唆を固める」という段階的に調査を行い、フットワークを重視しています。
1. 事前の仮説立てと質問設計
「新プランの松竹梅設計がいびつで刺さっていないのでは?」「解約ユーザーは料金面よりもサポート面に課題を感じているのでは」など、リサーチクエスチョンに沿った仮説を用意します。これをもとに質問項目を組み立て、聞きたいことを明確にしていきます。
2. 少数インタビューで早期の学びを得る
まず3〜4人に対してインタビューを実施。そこで「竹のプランにまったく惹かれてない」「実は契約期間の縛りが解約理由だった」など、想定外のインサイトが飛び出すかもしれません。これらのフィードバックをもとに仮説を微調整します。
3. 追加インタビューで仮説を検証する
次に新しい視点や修正を加えた質問を、さらに3〜4人に試します。似た指摘が重なるのか、まったく別の課題が浮上するのかを確認します。この段階で「どうやら新プランの説明よりも、契約途中で発生する追加料金への不安の方が深刻だ」といった、重要度の高いトピックが洗い出されることも。
4. トータル10人ほどで傾向を総括
合計で10人前後に意見を伺うころには、目立った課題や複数のユーザーが抱えるモヤモヤがほぼ集約されます。あとはどこを重点的に改善すべきか、ビジネス側の判断に落とし込める段階となるのです。
こうしたプロセスを踏むと、一気に大人数に聞くよりも小回りを利かせながら迅速に修正できるため、施策の方向性がブレにくいのがメリットです。
事例 10人が見せてくれた「解約理由」の本質
実際にKumonoが支援したケース(サービス名は伏せますが、BtoCのサブスクリプションを展開している企業)の一例をご紹介します。
- はじめの3人: 解約の理由を聞いたところ「忙しくて使わなくなった」「無料期間が終わった」といった漠然とした声が多く、料金そのものよりも利用頻度の問題が大きいのでは?という仮説が浮上。
- 次の4人: すると「実は無料期間後のプランが複雑で、どれに切り替わるかよく分からなかった」という指摘も見つかり、「使わなくなった=理解が不十分だった」可能性も出てきた。
- 合計10人目を終えた頃: 解約理由として挙げられるのは「忙しいから」よりも「契約が自動更新されるのか、料金はどうなるのかが説明不足で不安」というケースが多かった、という事実が判明。
最初は「忙しいから」というユーザーの自己申告をそのまま受け取り、アクティブ率向上の施策に注力しようとしていましたが、インタビューを重ねるうちに「プラン周りの分かりやすい説明」が先に必要だと方向転換できたのです。こうした早期の軌道修正は、後から振り返るとコストの節約にもつながります。
10人で完結? それとも追加で調査?
もちろん、10人という数字は厳密な上限でも絶対値でもありません。リサーチクエスチョンの範囲が広い場合や、ユーザーセグメントが多岐にわたる場合は、もう少し人数を増やして多面的に検証する必要があるでしょう。当然例外として、特に専門性の高い業界ではより深掘りしたインタビューが求められることもあります。
それでも、まずは10人を目安に「事業直結の課題」にフォーカスして聞き取りを行うことで、現場の感覚とユーザー視点を合致させ、素早く具体的な打ち手を導くことができます。「小さく始め、深く学ぶ姿勢」が、後々の大規模調査の方向性を明確にし、無駄なコストや労力を省いてくれる、という思想のもと行うことが重要だと考えています。
まとめ
- 新プラン導入や解約理由、入会率向上など、ビジネスに直結するテーマこそ、小規模インタビューが有効。
- まず3〜4人→仮説修正→追加で3〜4人→最終的に10人前後という段階的アプローチが、最も本質的な課題を素早くあぶり出す。
- 10人程度でも「もう新しい意見が出なくなったな」と感じられるほど、意見や行動パターンが明確化されることが多い。
「もっと大量のユーザーデータが必要では?」と思う方もいるかもしれませんが、大事なのは速やかに要点を把握し、いかに早く検証→修正→実装に移せるかという点です。もし新プランの反応や解約の真相を知りたいと考えているなら、ぜひこのアプローチを試してみてください。最小限の労力で、最大限の示唆が得られる可能性は十分にあります。
ユーザーインタビューの実施に迷ったら
本記事でご紹介した「10人程度の段階的インタビュー」は、シンプルながら事業インパクトの大きい手法です。実際に自社で実施するとなるとしばしば壁にぶつかることがあります。
- どんな仮説を立てて、何を聞けばいいのか分からない
- インタビュー中に本音を引き出すコツが掴めない
- 得られた情報から、どの示唆を優先すべきか判断が難しい
- 分析結果を施策に落とし込む際の社内調整に苦戦する
株式会社Kumonoは、SOELU社、PAPAMO社、ヤマップ社など複数の成長企業で、まさにこうしたユーザーインタビューを通じた事業改善を支援してきました。
私たちの特徴は「1聞いて10理解する」異常な理解力です。初回のミーティングだけで、まるで長期間現場にいたかのような深い理解を示し、的確な仮説を立てることができます。そして、インタビューから得られた示唆を、経営判断に使える形に翻訳し、実際の施策実装まで責任を持って伴走します。
「新プランの反応を素早く把握したい」 「解約の真因を突き止めて、LTVを改善したい」 「入会率向上の打ち手を見つけたい」
このような課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。 貴社のサービスと課題を理解した上で、最短距離で成果につながるインタビュー設計をご提案いたします。
小規模なインタビューから始めることで、大規模調査の10分の1のコストで、事業の方向性を大きく変えるインサイトが得られるかもしれません。