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顧客ロイヤルティとは?満足度との違い・測り方・高めるための考え方

顧客ロイヤルティとは?満足度との違い・測り方・高めるための考え方

こんな方におすすめ

  • 顧客ロイヤルティという言葉の意味を正確に理解したい
  • 顧客満足度との違いがよく分からない
  • ロイヤルティを測ったあと、どうすればいいか分からない

この記事を読むと

Before:顧客ロイヤルティの意味は分かったが、測定しても改善につながらない

After:定義・測り方・高めるための考え方が分かり、次のアクションが見える


顧客ロイヤルティとは

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランド、商品に対して抱く信頼や愛着のことです。英語の「Loyalty(忠誠心)」が語源で、ロイヤルティが「高い・低い」という形で使われます。

ポイントは、一度買ってもらえればOKという話ではないということ。「次も選びたい」「他の選択肢があっても、やっぱりここがいい」と思ってもらえている状態が、ロイヤルティが高い状態です。

たとえばサブスクリプションサービスであれば、毎月の契約更新のたびに「続けるかどうか」を判断されています。競合サービスも増え、乗り換えのハードルも下がっている中で、「それでも続けたい」と思ってもらえるかどうか。ここにロイヤルティの本質があります。

「満足しているのに離脱する」という問題

顧客ロイヤルティを考えるうえで、まず押さえておきたいことがあります。それは「顧客満足度」との違いです。

顧客満足度とは、商品やサービスに対して顧客がどの程度満足しているかを測る指標です。多くの企業がアンケートなどで定期的に測定しています。

ただ、満足度が高ければ顧客が離れないかというと、そうとは限りません。

解約した顧客に理由を聞くと、「サービス自体には満足していた」と答える人が少なくありません。満足していたのに辞めている。これは一見矛盾しているようですが、実際によく起きることです。

なぜこうなるのか。満足度は「その時点での評価」に過ぎないからです。サービス自体には不満がなくても、生活環境が変わった、他に優先したいことができた、なんとなく使わなくなった——理由はさまざまです。

つまり、満足度が高い=継続する、ではない。ここが顧客ロイヤルティという概念が必要になる理由です。

ロイヤルティは、満足しているかどうかではなく、「それでも選び続けたいか」という、より深い関係性を捉えようとする考え方です。

解約理由調査の落とし穴については、こちらの記事で詳しく書いています。

心理ロイヤルティと行動ロイヤルティ

顧客ロイヤルティは、2つの側面から捉えることができます。

ひとつは心理ロイヤルティ。「このサービスが好き」「信頼している」「応援したい」といった感情面のロイヤルティです。

もうひとつは行動ロイヤルティ。継続利用、追加購入、友人への推奨など、実際の行動として現れるロイヤルティです。

この2つを掛け合わせると、顧客の状態を4つのパターンに分類できます(※1)。

ジムの会員で考えてみましょう。

①心理も行動も高い(本当のファン)

毎週通っていて、トレーナーとの関係も良好。「このジムじゃないとダメ」と思っている。理想的な状態です。

②心理は高いが行動が低い(好きだけど行けていない)

ジムのことは好きだし、トレーナーも信頼している。でも仕事が忙しくて3ヶ月行けていない。「落ち着いたらまた通いたい」と思っている。

③心理は低いが行動が高い(惰性で続けている)

月額を払い続けているけど、もう3ヶ月行っていない。解約手続きが面倒で放置している。特に愛着はない。

④心理も行動も低い(離脱寸前)

もう行く気もないし、近いうちに解約するつもり。

数字だけ見ると、②と③は「継続会員」として同じに見えます。でも実態はまったく違う。

③の「惰性で続けている」顧客は、何かのきっかけであっさり解約します。引っ越し、クレジットカードの変更、競合ジムのキャンペーン。心理的な絆がないので、踏みとどまる理由がありません。

サブスクリプションサービスでも同じことが起きています。継続率やリピート率といった「行動」の数字だけを見ていると、この危うさに気づけません。

ロイヤルティが収益に直結する理由

顧客ロイヤルティは、収益に直結します。具体的には、解約率とLTV(顧客生涯価値)に効いてきます。

具体例として、まず月額1万円のサービスを想像してください。簡単な計算をしてみましょう。

あえて単純化して月次解約率が一定だと仮定すると、平均継続期間は概算で 1/解約率となります。

つまり、解約率が5%なら約20ヶ月、解約率が4%なら約25ヶ月になり、月額1万円ならLTVは20万→25万円になります。

これが解約率4%に改善すると、平均継続期間は25ヶ月。LTVは25万円になります。

たった1ポイントの改善で、顧客1人あたりの価値が25%上がる。新規獲得コスト下げのみに注力せず、既存顧客に続けてもらうインパクトの大きさが実感できると思います。

と、ここで解約率を下げるにはどうすればいいか。ここで「ロイヤルティ」が関係してきます。

以前、クライアント企業の競合にあたる保険系の月額サービスで、継続ユーザーにインタビュー調査を行ったことがあります。

興味深かったのは、同じ「継続ユーザー」でも、続けている理由が大きく2パターンに分かれたことでした。

ひとつは、サービスの機能や価値を深く理解し、「これがないと困る」と判断して続けている人。日常的な使い方も定着していて、代替手段がないことを実感しています。

もうひとつは、「なんとなくお守り感覚」で続けている人。キャンペーンきっかけで入会し、機能の理解は粗めです。続けている理由も「安心感」とか、「まあいいか」といった感覚が近いです。

データ上はどちらも「継続ユーザー」です。でも、競合が魅力的なキャンペーンを打ったとき、後者は簡単に離脱するリスクがあります。

継続率の「数字」だけを見ていても、この違いは見えません。だからこそ、顧客が「なぜ続けているのか」を理解することが重要になります。

LTVや解約率改善の考え方については、こちらの記事で詳しく書いています。

顧客ロイヤルティを測る方法

顧客ロイヤルティを把握するには、何らかの形で測定する必要があります。よく使われる指標を2つ紹介します。

NPS(ネットプロモータースコア)

「このサービスを友人や同僚にどの程度勧めたいですか?」という質問に、0〜10点で回答してもらう方法です。

9〜10点をつけた人を「推奨者」、7〜8点を「中立者」、0〜6点を「批判者」と分類し、推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSになります。

シンプルで比較しやすいので、多くの企業で採用されています。

継続利用意向

「1年後もこのサービスを使っていると思いますか?」といった質問で、将来の継続意向を直接聞く方法です。

NPSが「人に勧めるか」という間接的な指標なのに対して、こちらは「自分が続けるか」をストレートに聞いています。サブスクリプション型のサービスでは、こちらの方が実態に近い場合もあります。

測定だけでは改善できない

ただ、ここで注意が必要です。

これらの指標は、定点観測として時系列で変化を追う使い方が一般的です。四半期ごとにNPSを測って、上がったか下がったかを見る。健康診断のようなヘルスチェックですね。

この使い方自体は有効なんですが、課題もあります。

ひとつは、効果が見えるまで時間がかかること。施策を打って、次の測定で数字が動いたかを確認して、また施策を打って……というサイクルを回すには、どうしても数ヶ月単位の時間が必要です。

もうひとつは、即アクションにつながりにくいこと。NPSが下がった。では、なぜ下がったのか? どこを改善すれば上がるのか? 数字だけを見ていても、具体的に何をすればいいかは分かりません。

数字を見るだけでは上がらない

ロイヤルティを測定した後、次に考えるのは「どうやって上げるか」ですよね。

CXを改善する、顧客接点を増やす、SNSで関係性を築く——こうした施策はどれも有効です。ただ、私たちがクライアントと一緒に取り組む中で感じるのは、施策の前にもうひとつステップがあるということです。

それは、「なぜその数字なのか」を理解すること。

NPSが低いからCXを改善する。それ自体は間違っていません。ただ、「CXのどこを改善するのか」が分からないまま動いても、施策が空回りするリスクがあります。

では、どうやって「なぜ」を理解するか。アプローチは大きく2つあります。

行動データから仮説を立てる

ロイヤルティが高い顧客と低い顧客で、行動データにどんな差があるかを見る方法です。

たとえば、継続率が高い顧客は初月に○○機能を使っている割合が高い、とか。NPSが高い顧客は△△のタイミングで接点を持っている、とか。データの差分から「ここが効いているのでは?」という仮説が見えてきます。

顧客ヒアリングから仮説を立てる

ロイヤルティが高い顧客・低い顧客に直接話を聞く方法です。

「なぜ続けているのか」「何が決め手だったのか」「不満に感じていることは何か」。データでは見えない、顧客の認識や感情を掘ることができます。

両方を行き来して解像度を上げる

どちらか一方だけでは不十分なことが多いです。

データで見つけた仮説を、ヒアリングで深掘りする。ヒアリングで出てきた仮説を、データで検証する。この行き来を繰り返すことで、「なぜロイヤルティが高いのか/低いのか」の解像度が上がっていきます。

解像度が上がれば、「CXのどこを改善すべきか」「どの顧客セグメントに注力すべきか」が具体的に見えてくる。施策の精度がまったく変わります。

継続顧客へのインタビューの考え方については、こちらの記事で詳しく書いています。

顧客ロイヤルティを高めるには

ここまで、顧客ロイヤルティの定義から測定方法、そして「なぜ」を理解することの重要性を見てきました。

では、具体的にどうやってロイヤルティを高めていくのか。

詳しくは別の記事で書きますが、出発点は「顧客理解」です。

先ほど紹介した保険系サービスの調査でも、同じ継続ユーザーの中に「機能を理解して合理的に続けている人」と「お守り感覚でなんとなく続けている人」がいました。この2タイプに対して、同じ施策を打っても効果は違います。

まずは自社の顧客が「なぜ続けているのか」「なぜ離脱するのか」を理解する。その解像度を上げた上で、セグメントごとに施策を設計していく。この順番が大事です。

顧客ロイヤルティを高める具体的な方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

顧客ロイヤルティを高める方法

まとめ

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やサービスに対して抱く信頼や愛着のことです。満足度が「その時点での評価」なのに対して、ロイヤルティは「それでも選び続けたいか」という継続的な関係性を捉える概念です。

ロイヤルティには心理面と行動面があり、両方を見ることが大切です。継続率が高くても、心理的な絆がなければ何かのきっかけで離脱するリスクがあります。

NPSや継続利用意向といった指標で測定することはできますが、数字だけでは「なぜ高いのか/低いのか」は分かりません。行動データの分析と顧客ヒアリングを組み合わせて、理由の解像度を上げていくことが重要です。

ロイヤルティを高める施策は、この「顧客理解」ができてから。まずは自社の顧客が何を考え、なぜ続けているのかを知ることから始めてみてください。


注釈

※1:Dick, A. S., & Basu, K. (1994). Customer loyalty: Toward an integrated conceptual framework. Journal of the Academy of Marketing Science, 22(2), 99-113.

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