今回は、ソーシャルコマースを軸にインフルエンサーマーケティングからコミュニティ構築まで手掛けるSHINSEKAI Technologies株式会社のCSO/CAIO 岡崎智樹様にお話を伺いました。EQ高めの人材が多い組織において、データ分析とAI活用でどのように価値を生み出しているのか。スタートアップに本当に必要なパートナーの条件について、詳しくお話を伺いました。
今回お話を伺ったのは
株式会社SHINSEKAI Technologies CSO/CAIO 岡崎 智樹様
■コミュニティの力でデジタルマーケティングをグロースさせる、SHINSEKAI Technologies社
古座(Kumono): 岡崎さん、本日はお忙しい中ありがとうございます!まず改めて、SHINSEKAI Technologies社がどのような会社なのか教えていただけますか?
岡崎(SHINSEKAI): こちらこそ、よろしくお願いします。
デジタルマーケティングの視点から言うと、「ソーシャルコマース」というキーワードを軸にした事業、MURAコミュニティを展開しています。具体的には、インフルエンサーマーケティングによる集客だけで終わらず、コミュニティという器を作ることで、ユーザー同士が繋がったり共感し合ったりする場を提供しています。これによって、大きなデジタルマーケティングのグロースを実現しています。
古座(Kumono): 岡崎さんはコミュニティ運営に関する書籍も書かれていますよね。再現性のあるコミュニティが回る仕組みについて、実績ある形で記載されていると思うのですが、どうやってその知見を獲得していったのですか?
岡崎(SHINSEKAI): 実は私、コミュニティマーケティングの方々とは少し特殊なんですよ。元々コンサル会社でロジカルシンキングや課題解決をやっていて、そこからWeb3領域に転職して、副業でコミュニティマネージャーをやっていく中で、現場でユーザーさんを楽しませる肌感覚と、コンサルティング的なロジカルシンキングを掛け算したんです。どうやってビジネスに昇華する時に再現性を出すか、ユーザーさんの行動をどう分析・数値化するか、そういったデータ分析を掛け算して今の形ができました。
■AIとデータとToCビジネスを理解している稀有な存在
古座(Kumono): 弊社との関わりについても伺っていきたいです。振り返ってみて、率直にどんな印象がありますか?
岡崎(SHINSEKAI): すごく助かっているのは、AIとデータとToCビジネスという3本を理解されているところですね。
AIだけの人だとAIエンジニアとか開発会社っぽくなってしまうし、データの人だとデータベースやSQLはできても、ビジネス視点が弱かったりします。なかなかそれぞれに偏っちゃうんですけど、その3つを一気通貫で語り合えるというのがやりやすいところです。
古座(Kumono): ありがとうございます。どれか一つというより、掛け合わせがうまいバランスでできるのが良いということですね。
岡崎(SHINSEKAI): そうですね。多分スタートアップに合ってるんだと思いますね。
■繋がりの強さがコミュニティの価値を高める - 印象的な分析結果
古座(Kumono): 具体的に言える範囲で、何かエピソード的なものはありますか?
岡崎(SHINSEKAI): 去年の事業分析で「繋がりが強い人」がコミュニティの価値に寄与しているという分析結果が、すごく印象的でした。
KPIに落とすとなると、どうしても見えやすいファネルの数字に寄りがちなんです。「ここまで到達した人は何%」とか「その先に行った人は何人」とか。でも、そこからさらにコミュニケーションを分析して、繋がりを可視化するところは、単純にデータだけでもないし、一定のToCビジネスの理解や、AI活用ができないとできなかったりする。その掛け合わせがすごいなって感じでしたね。
古座(Kumono): 事業の蓋然性を示すお役に立てたのが嬉しいです!
岡崎(SHINSEKAI): まさにその通りです。投資家向けに事業の蓋然性を示す時にも、自分たちの事業の本質的な価値を客観的なデータで証明できる、非常に強力な材料になりました。「なんとなくコミュニティが盛り上がってる」じゃなくて、「繋がりの強さが事業価値に直結している」ということを定量的に示せたのは大きかったですね。
■3つの軸で進めるAI活用戦略
古座(Kumono): 岡崎さんはAIにも関心が強いと思うのですが、どういう関わり方をしているのですか?
岡崎(SHINSEKAI): AIには大きく3つの軸があります。
1つ目が「AI駆動開発」。コミュニティのプロダクトを効率的に作るためのものです。
2つ目が「AIエージェント」。開発じゃなくて、通常のコミュニティやSNSマーケのフロント事業のコスト削減や自動化です。
3つ目が、コミュニティに溜まっていく非構造データ、つまり感情をAIでうまく処理することで価値に変換していくという、未来を見据えた軸です。
古座(Kumono): EQ高めの人材が多いからこそ、その方々がどう回しているのかを可視化するという価値が強いということですね。
岡崎(SHINSEKAI): まさにそうです。感覚的にEQの高い方々が感覚で運営している判断とか、インフルエンサーマーケティングのコンテンツやプランも、うまく型に落とそうと思ったらAIが必要になってきます。
■社内にないスキルを補完する、研究開発的な取り組み
古座(Kumono): 社内にビジネス的な知見やドメインに関してEQ高い方たちが武器を持っている中で、あえて私にご相談いただけるのはどういう背景がありますか?
岡崎(SHINSEKAI): シンプルに、社内にそういうスキルを持った人がいないっていうことです(笑)。
でも本当に、データ分析の話ができる人ってあまりいないじゃないですか。僕たちのやってることも知ってるし、という前提だとすごく助かってるんです。
古座(Kumono): ありがとうございます。今後、最も期待している役回りは何ですか?
岡崎(SHINSEKAI): やっぱりAIを活用したデータ分析ですね。あと、僕の中ではAIエージェントの導入も近いなと思っています。ビジネスや業務を整理してフローに落として、エージェント化していくという整理整頓はデータ分析と近いなって感じがしています。
古座(Kumono): 研究開発っぽい感じですよね。
岡崎(SHINSEKAI): そうですね。僕のところは答えがないところに進んでいく系が多いので、そこはやっぱり一緒に考えたいなと思ってるんです。具体的にこうっていうのはなかなかないんですけど、AIエージェントのところはかなり仕事が出てきそうな感じがするので、またそっちをお願いする可能性も出てきますね。
■今後の展望 - 人とAIが融合する組織作りへ
古座(Kumono): 組織の形については挑戦的な取り組みになりますね。
岡崎(SHINSEKAI): そうですね。社内メンバーをそんなに増やしていくって感じではないんですよ。可能な限りAIエージェントで増やしていく。ただ、営業とコミュニティを見る人は増えるかな。対人のところはどうしても人でやらないといけないので。
例えば、コミュニティの構築と運用のところは、可能な限りAI活用の検証をしたいと思ってます。ただ、それは無機質にAIが運営しているのでなく、自社で貯めてきたEQ強めな運用ノウハウを、AIをフル活用しながら展開していく。コンテンツはあくまでウェットな人間起点のものです。AIと直接やり取りすると寒くなるっていうのはやっぱりあるので。逆に機械的な発言でいいところもいっぱいあるだろうし、そのバランスを見極めながら進めていきたいですね。
古座(Kumono): そういった新しい組織の形を一緒に作っていけることを楽しみにしています!本日は本当にありがとうございました!
岡崎(SHINSEKAI): こちらこそ、引き続きよろしくお願いします!