目次
相談するこんな方におすすめ
- 社内にスライドテンプレートはあるけど、毎回コピペで埋めるのが面倒
- AIスライド生成に興味はあるが、自社のトンマナと合わなくて断念した
- Claude Codeの社内展開を推進しているが、ビズサイドの活用事例が足りない
この記事を読むと
Before 普段スライド作成になんだかんだ1〜3時間かかる
After 理想のスライドを15分で作れるようになる
AIスライド生成が自社のテンプレと合わない問題
AIでスライドを自動生成する話、最近よく見かけるようになった。スライド生成を謳うAIツールに「提案書作って」と言えばPPTXが出てくる。便利な時代だ。
実際にやってみるとなかなか完璧な出力と巡り会うにはガチャの要素もある。出てくるスライドが、自社のテンプレと全然合わないことも余裕で起こりうるからだ。
色が違う。フォントが違う。レイアウトの雰囲気が違う。結局、手作業で直す時間が発生する。
深夜2時に、AIが生成した微妙にズレたテキストボックスを1pxずつ十字キーで直している。カードの角丸がなぜか自社テンプレより大きい。フォントがNoto Sans JPじゃなくて游ゴシックになってる。「自分は今何をしているんだ...」感に溺れそうになる。AIに任せて速くなるはずだったはずが、AIが作った微妙なズレを手で直す作業に四苦八苦してしまう。
この問題に対して、デザインシステムをゼロから組んでClaude Codeに覚えさせるアプローチが出てきている。
SmartBankさんの事例や、OffersさんによるGoogleスライド自動生成の仕組みがまさにそれで、自社ブランドのカラーパレットやフォント、レイアウトパターンをライブラリとして定義し、AIにコードを書かせてスライドを生成する。
Claudeの運営会社であるAnthropic社の公式ドキュメントでも「ブランドガイドラインをカスタムスキルにする」パターンが推奨されている。徐々に定番になりつつある手法である。
実運用の現場では、AIをフル活用するために、自社ブランド用にゼロからから作るのも素晴らしいけれど、せっかく既に作っておいたパワポのテンプレを再利用可能な形で活かしたいなーという気持ちも湧いてくる。
社内にはもう、テンプレートがあるはず
一旦立ち止まって考えると、多くの会社には既に使っている、珠玉の自社スライドテンプレートがあるんじゃないだろうか。
表紙のバリエーション、目次、セクション区切り、1カラム〜4カラムの本文レイアウト、カードレイアウト、写真配置のパターン…。
長年使い込まれた、ブランドガイドラインに沿ったテンプレートがある場合は、それがフルに活きる形でAIを組み込めたら最高である。
デザイナーが作ったスライドテンプレが社内に存在している場合、それを「古いから」「AIと相性悪いから」と捨てて、トンマナを踏まえたAI仕様のテンプレートをゼロから作り直すのはもったいない。
既存テンプレをそのまま活かしたまま、Claude Codeから呼び出せるようにする。 その方が速いし、確実だし、社内の人にも受け入れられやすい。
ハイブリッド構成という考え方
ということで、よしなな方法を実際の運用現場に落としてみた。
Aパス(テンプレート差し替え)とBパス(不足パターン新規生成)のハイブリッド構成でスライド生成を試みる方法である。
Aパス:既存テンプレをそのまま使う
既存のPPTXテンプレートがすでにある型は、テンプレートからスライドを複製してテキストを差し替える。
表紙、目次、セクション区切り、1〜4カラムの本文、カードレイアウト、写真レイアウト。こういった基本的なスライドの型は、たいてい社内のテンプレにすでに揃っている。デザインが完成しているものをわざわざ作り直す必要はない。
Bパス:足りないパターンだけ新規で作る
一方で、既存テンプレートにない型もある。
KPIダッシュボード(数値を大きく見せるやつ)、Before/After比較、タイムライン、比較マトリクス、ロードマップ表。こういったデータ可視化系や分析系のスライドは、テンプレートに含まれていなかったりする。
この「テンプレにない型」だけを、クライアントのブランドカラー・フォントに合わせてゼロから生成する。
どこで分ける?
実際AIがスライド生成を行う時、上記のAとBをどのように分けるのか。
判断基準はシンプルで、既存テンプレにある型 → A、ない型 → Bという方式である。
実際に当社が相対したプロジェクトでは、まず既存テンプレートを解析して「何があって何がないか」を棚卸しすることから始めた。
例えば当社が支援したあるクライアントでは、36スライドのテンプレートを持っていた。
ただよく見ると基本レイアウトのバリエーションが中心で、KPIやタイムラインといった「分析系の型」は入っていない、ということがわかった。
この棚卸し自体が、実はかなり価値のあるプロセスだったりする。「うちのテンプレは表紙のバリエーションばっかりで、実は中身のパターンが足りてなかった」という気づきにつながることがあったら儲け物である。
既存テンプレートから何を読み取るか
ハイブリッド構成を作るには、まず既存テンプレートを解析する必要がある。具体的には、PPTXファイルから以下を抽出する。
カラーパレット。 PPTXの中で実際に使われている色をXMLレベルで全部抜き出す。ブランドカラーのガイドラインがあれば、それと照合して「公式な色定義」と「実際に使われている色」の差分を確認する。意外と、テンプレートの中にガイドライン外の色が紛れ込んでいることもある。
フォント。 日本語フォントと英語フォントの組み合わせ、ウェイトの使い分け(Regular / SemiBold / Bold)を確認する。
スライドパターンの型。 各スライドが何の型なのかを分類する。表紙系、本文系(カラム数別)、カード系、写真系、区切り系。ここで「テンプレにある型」と「ない型」のリストができる。
レイアウトの座標。 テキストボックスやカードの位置・サイズ。これはBパスで新規スライドを作るときに、既存テンプレと「揃った感じ」にするために必要になる。余白の取り方やカード間のギャップが既存テンプレと揃っていないと、A→Bに切り替わるスライドで違和感が出る。
この解析作業自体はPythonのpython-pptxライブラリで自動化できるので、手作業でやるほど大変ではない。カラーの使用頻度、フォントの種類、各スライドのテキスト内容あたりはスクリプト一発で抽出できる。
Bパスの設計:カラーを差し替えるだけで8割揃う
Bパス(不足パターンの新規生成)の設計も、実際大変ではない。
Kumonoでは自社用のスライド生成ライブラリを持っていて、カラーパレットとフォントを定数として管理している。この定数をクライアントのブランドに差し替えることで、カバーできるスライドも多い。
たとえば、Kumonoのデザインシステムはダークグリーン基調のモノトーンだが、あるクライアント向けにはオレンジ基調の「白ベース+オレンジアクセント」といった形に変えるといった具合である。
具体的にやることは
- カラーパレットの定数辞書を書き換える(メインテキスト色、アクセント色、カード背景色、セマンティック色)
- フォント定数を書き換える(英語フォントがNoto Sansなのか等)
- フッターテキストを書き換える(© Kumono Inc. → © Copyright クライアント社名)
- マスターテンプレートの背景色とセクション区切りの色を差し替える
- バリデーションルールを新パレットに対応させる
関数の構造やパターンのレイアウトロジックは一切触らない。色とフォントを変えるだけで、同じ「KPIダッシュボード」や「タイムライン」がクライアントのブランドトーンで出力される。
バリデーションという安全装置
AIが生成するスライドは、どうしても品質がブレてしまったりすることが多い。
色がおかしい、フォントが違う、テキストがはみ出す..。
毎回目視で確認するのは現実的じゃないし、せっかく社内に展開したのに、今ひとつ信頼をえらなかったりする原因となりうる。
そこで、生成後に自動で品質チェックを走らせる仕組みを入れるのが良い。
チェック項目はたとえば、パレット外の色が使われていないか。指定外のフォントが紛れ込んでいないか。1スライドあたりのテキスト量が多すぎないか。要素がスライドの端からはみ出していないか...などなど。
エラーが出たらAIがその場で修正して再生成する。このフィードバックループがあることで、ブランドガイドラインから外れた出力が最終成果物に残りにくくなる。
ちなみにこのバリデーションの仕組みは、クライアントごとにカスタムルールを足せる。「ロゴのクリアスペースを確保しているか」「特定の色をテキストに使っていないか」といった、そのブランド固有の禁止事項を検出ルールとして追加できる。
ビズサイドの「Claude Code、何に使えばいいの?」問題
Claudeを組織に導入したはいいけど、特にClaude Codeをエンジニア以外のメンバーが何に使えばいいかわからない、という話をよく聞く。
スライドテンプレートのスキル化は、ここにかなりハマると思っている。
ビズサイドの人が日常的にやっている「テンプレからコピペしてテキスト差し替えて体裁整える」作業は、まさにClaude Codeが得意なタスクだ。しかもスキルとして整備してしまえば、使う側は「月次レポート作って」「先方への提案書のたたき作って」と言うだけでいい。Pythonが書けなくても、デザインセンスがなくても関係ない。
組織としてテンプレートのスキルを統一しておくと、誰が作っても同じ品質のアウトプットが出る。属人化しない。新しく入った人も初日から同じクオリティの資料が出せる。
資料の体裁ではなく、中身に対して頭と時間を向けることができるようになる。
Kumonoは普段、顧客理解を起点にした施策設計やAIの組織実装を一気通貫で支援しているが、AI実装の「実装」には、こういう日常業務のスキル化も含まれる。派手なAIプロダクトを作るだけがAI活用ではなく、むしろ毎日やっている地味な繰り返し作業をスキルとして整備する方が、短期的に生み出す組織全体のインパクトとしては大きかったり、まず組織全体のAIに対する勢いや信頼感を作り出すきっかけになったりする。
社内ナレッジとClaude Codeの連携も同じ発想で、日常の業務フローにAIを自然に組み込むことが、結局いちばん定着しやすい。
スライド生成自体は小さな話かもしれないけど、「非エンジニアがClaude Codeを日常的に使う」きっかけとしては、かなり手堅い選択肢だと思う。
以前紹介したCursorでのExcelデータ分析もそうだったけど、「自分の仕事が楽になる」体験が一度あると、そこから使い方がどんどん広がっていく。
まとめ
AIスライド生成の事例は増えているが、多くの会社にはすでにテンプレートがある。それを活かしたまま、足りないパターンだけAI生成で補完する「ハイブリッド構成」をつかって素早く、抵抗も少なく組織に入れ込む方法を紹介してみた。
やることを整理すると、
- 既存テンプレートを解析して、ブランド定数(カラー、フォント)とスライドパターンを棚卸し
- テンプレにある型はそのまま活かす(Aパス)
- テンプレにない型だけ、ブランド準拠で新規生成する仕組みを作る(Bパス)
- バリデーションでブランドガイドラインからの逸脱を自動検出する
「うちのテンプレでもできるのかな」と思った方は、ぜひ気軽にご相談ください。PPTXとガイドラインPDFを見せていただければ、気軽にご相談にお答えします。
Kumonoに相談する → https://kumono-inc.com/contact
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