目次
相談するこんな方におすすめ
- 商談の録音はしているけど、後から活用できていない
- 架電するとき前回の内容をうろ覚えで話してしまう
- 担当の引き継ぎのたびに顧客情報がリセットされる
CRMがない現場で、商談情報はどこに消えていくか
特に新規事業の立ち上げ期に、HubSpotのようなCRMをいきなり整備するのは現実的ではないですよね。まだ顧客の型も決まっていないし、そもそも何を管理すればいいかも手探りです。
結果、スプレッドシートに手書きで商談メモを残す運用になりがちです。「〇月〇日 電話した。XXに興味あり」みたいなメモ。これ自体は悪くないのですが、いくつか問題が出てきます。
まず、書く人によって粒度がバラバラです。ある人は3行びっしり書いてくれるし、別の人は「反応よかった」で終わり。書き忘れもあります。
もう一つが、温度感の根拠が残らないことです。「温度感A」と書いてあっても、何を根拠にAなのか、具体的にどんな発言があったのか、記録からは読み取れません。担当者の主観でしかないので、他の人が見ても判断のしようがないんです。
一方で商談の録音は行う方が増えてきています。でも、30分〜1時間の録音を聞き返す時間はなかなか取れませんよね。録音ファイルがドライブに溜まっていくだけ、という状態になりがちです。
Kumonoでは業務×AIの実践事例を多数発信しています(freee × Claudeで法人決算を完走した話、GA4のデータ分析をAIにまかせた話など)。今回は、ある支援先の新規事業チームで実際に運用した、商談録音の活用ワークフローを紹介します。
録音からNotebookLM集約までの4ステップ
この「録音はあるけど活用できていない」問題を解消するために組んだワークフローが、以下の4ステップです。
ダミーの商談データを用いて、実際の活用シーンを再現してみます!
※氏名・会社名などは全て架空の名称を使っています
ステップ1:商談を録音する
オンラインならビデオ通話サービス(Google MeetやZOOMなど)の録画機能や文字起こし機能、対面ならスマホの録音アプリで十分です。特別な機材や別の議事録アプリは要りません。
ステップ2:文字起こしをNotebookLMに集約する
NotebookLMでノートブックを1つ作り、録音データ又は文字起こしテキストをどんどん入れていきます。これが「商談データベース」になります。NotebookLMはアップロードした資料の中身だけを根拠に回答するので、ネット上の関係ない情報が混ざることがありません。
画像の例では、実際に15本の営業商談ログをまず入れ込んでいます。
アップロードするだけなのでとても直感的です。

商談だけでなく社内会議の議事録でも同じワークフローが使えます。
NotebookLMは音声ファイルにも対応しているので、録音データをそのまま入れることも可能です。音声×NotebookLMの活用については以下の記事でも紹介しています。
ステップ3:AIにまとめさせてSlackで共有する
NotebookLMに「今日の商談の要点をまとめて」と聞けば、発言ベースで要約してくれます。それを社内チャットに貼るだけでチームに共有ができます。NotebookLMのURL自体を共有すれば、チーム全員で同じ情報を見られる状態になります。
ポイントは、このワークフローがGoogle Workspaceの中でほぼ完結することです。録音or文字起こし(Meet)→ NotebookLM → Geminiと、別のツールにコピペして回す必要がありません。ChatGPTに商談内容を毎回貼り付ける運用と比べて、定着しやすいのはこの点が大きいです。

架電準備がファクトベースになる
このワークフローで一番変わるのが、特に営業後のフォローの準備です。
従来は、スプレッドシートのメモを見て「この人、たしかXXに興味あったよな…」とうろ覚えのままメールしたり電話したりしていました。メモが「反応よかった」だけだと、何の話で反応がよかったのかわからない。
NotebookLMに商談の文字起こしが入っていれば、架電前に「〇〇さんが気にしていたポイントは?」と聞くだけで、実際の発言をもとにまとめてくれます。
「すぐにでも始めたい」と言っていたのか、「興味はあるけどまだ検討段階」だったのか。発言ベースで残っているから、温度感の根拠が明確です。
架電するときも「前回『まず小さく試したい』とおっしゃっていましたが、その後いかがですか?」と切り出せる。相手からすると「ちゃんと覚えてくれている」という印象になりますし、会話の精度がグッと変わります。
非エンジニアでもAIを使ったデータ活用で業務が変わる実感は、Cursor×Excel分析の記事でも紹介しています。
商談の傾向分析ができるようになる
商談データが蓄積されてくると、個別のフォロー準備だけでなく、全体の傾向を見て分析することもできるようになります。
たとえば、ある時期の商談をまとめて「この期間の商談で、よく出てきた関心事は?」と聞けば、NotebookLMが横断的に拾ってくれます。
エリアごとの比較もできます。拠点Aと拠点Bの商談で、興味を持つポイントに違いがあるのかどうか。手作業で議事録を読み比べていたら何時間もかかる作業が、NotebookLMに聞くだけで示唆が出てきます。また、後述しますがGeminiと連携することでより高精度なAIモデルを使った分析や示唆出しも可能になります。

インサイトの深掘り、とかデータ分析といった言葉を使うとと大げさに聞こえるかもしれませんが、やっていることは「録音を全部入れて、AIに傾向を聞く」だけです。特別な分析スキルは要りません。商談の現場にいて肌感を知るメンバーが、そのまま使えるのがいいところです。
定性・定量データの分析と組み合わせると、さらに精度が上がります。数字で「何が起きているか」を把握し、商談の録音で「なぜそうなっているか」の手がかりを得る。この組み合わせについてはビジネスにおけるデータ活用の進め方で詳しく書いています。
NotebookLMのData Table機能を使えば、商談記録を自動でテーブル化することもできます。商談日・企業名・課題・検討ステータスなどが一覧になるので、スプレッドシートに手書きしていた管理表がAIの出力で代替できるようになります。
CRMを入れるほどの規模ではないけど、商談情報は一覧で見たい。そういうフェーズにちょうどいい機能ですよね!
こちらもData Tableのボタンをおすことで、最終的にスプレッドシートの形にまで出力してくれる便利機能です。


引き継ぎで顧客情報がリセットされなくなる
営業の引き継ぎで一番困るのは「前任者の頭の中にしかなかった情報」が消えることですよね。
スプレッドシートのメモだけだと、引き継ぎ資料を作るのにも時間がかかりますし、どうしても前任者のフィルターを通した情報になります。「この人は温度感高い」と書いてあっても、その根拠になった発言は残っていない。
NotebookLMに商談の文字起こしが溜まっていれば、引き継ぎ先の担当者が「〇〇さんとのやり取りを全部まとめて」と聞くだけで追いつけます。前任者が退職していても、録音データという一次情報が残っているから、解釈のズレが起きにくい。
CRMを導入していない段階でも、録音さえしておけば「顧客情報のデータベース」を実用的に作ることが可能です。
Gemini連携で「わざわざ開く」がなくなる
2026年1月のアップデートで、GeminiのチャットからNotebookLMのノートブックを直接参照できるようになりました。
これが何を意味するかというと、NotebookLMを開かなくても、より賢いAIモデルを搭載したGeminiから商談情報にアクセスできるということです。

Geminiのチャット画面で「+」ボタンからノートブックを選ぶだけ。「〇〇さんの直近の商談内容をまとめて」と聞けば、NotebookLMに集約した文字起こしをもとにGeminiが回答してくれます。
以前は、NotebookLMで一度まとめを作り、それをコピーしてGeminiに貼り付けて…という手間がありました。この「コピペのひと手間」が意外とバカにならなくて、忙しいと省略してしまうんですよね。結果せっかく集約したデータが使われなくなってしまったら本末転倒、なんてことを防げます。
Gemini連携によってこのハードルがなくなったので、営業メンバーの日常的な利用が定着しやすくなりました。
AIツール同士の連携で業務がどう変わるかは、Claude Codeで社内スライドを自動生成した話でも紹介しています。
GWSの権限管理があるから組織導入でも安心
「商談の録音をAIに入れて大丈夫?」という懸念は当然出てきます。
例えばメンバーが個人で契約しているAIに商談内容を都度コピペする運用だと、誰が何を入力しているか管理できません。これはシャドーAIと呼ばれ、機密情報や顧客データがAIの学習に使われ、情報漏洩や著作権侵害のリスクが高まる危険無行為に繋がります。
その点、Google Workspaceであれば管理者がアクセス権をコントロールできる上、AIモデルに学習されないよう制御された環境でAIを活用することが可能です。NotebookLMのノートブックも、Googleドライブと同じように共有範囲を設定できるので、「このノートブックは営業チームだけ」「このデータは閲覧のみ」といった制御が可能です。
また、Google WorkspaceアカウントでNotebookLMを利用する場合、アップロードしたデータがAIのトレーニングに使用されない点も、組織として導入する際の安心材料になります。
ツールの便利さだけでなく、「組織として安全に運用できるか」が導入の決め手になることは多いです。GWSの権限管理基盤の上で動くという点は、経営判断として見逃せないポイントではないでしょうか。
まとめ
商談の録音を活用できていない原因は、「聞き返す時間がない」の一点に尽きます。NotebookLMに文字起こしを集約することで、この問題がまとめて解消されます。
- 架電準備:発言ベースのファクトで話せるようになる
- 傾向分析:商談データを横断して示唆を出せる
- 引き継ぎ:一次情報が残るから属人化しない
- Gemini連携:普段使いのAIからそのまま聞ける
- 権限管理:GWSの基盤で組織導入も安心
CRMを整備する前の段階でも、録音さえしておけば商談データベースは作れます。まずは直近の商談を数件、NotebookLMに入れてみるところから始めてみてください。
商談データの活用や営業の仕組み化でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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